読書感想:お隣の美人エルフの距離感が近すぎる件 ~私とイイコトしませんか?~

 

 さて、画面の前の読者の皆様の中には一人暮らしをしている、という方もおられるであろう。一人暮らしをされている方は、どんな物件に住まれているであろうか。マンションであろうか、それともアパートであろうか。そんな話題はともかく。一人暮らしにおいて重要な事は色々あるかもしれないが、近隣住民との関係性というのも重要であろう。

 

 

例えば、隣人が迷惑な住民であったり、引きこもりのようなインドア系な人であったり。ご近所づきあいというのは今の世の中、周りとのかかわりが薄れていっているわけであるが、大切にしたいものである。この作品はそんな、ご近所づきあいから始まるほのぼのラブコメなのである。

 

 

小学生の時に森で見つけた謎の芸術作品に魅入られ、そんな作品を作りたいと、「自然工芸部」というぴったりな部活がある田舎の高校への進学を決め。無事に進学、アパートで一人暮らしを始めた少年、亮駕。引っ越して律儀に近隣住民への挨拶へ。

 

「やっぱりエルフじゃねえか!?」

 

するとお隣の部屋から出てきたのは、大人の女性であるルフ(表紙)。その耳はどう見てもエルフのものであるもツッコミを入れる事も出来ず。

 

「人間じゃなくない? 一緒に住んでる子どもも」

 

更にはルフと同居していると言う双子、ティトリーとネロリ―もどうも人間には見えず。二階に住んでいた同級生、ことりも人間ではなさそうと言うもやっぱりツッコめず。一先ず疑問は飲み込んで、日常生活へ。

 

まずは始まる高校生活、ことりが大好きな彼女の親友でありアパートのオーナーの娘、羽椰世からは三人は自分が生まれる前から住んでいたらしいという事実を聞かされ更に謎。 そんな中で、ルフにゲームに誘われ双子も交えて四人対戦したり、料理をご馳走したり、女子会に巻き込まれたり。ふと聞いてみれば、帰ってきたのはどこか愁いを帯びた答えで。

 

疑問を溶かす間もなく、ゴールデンウィーク。迎えた勉強合宿。そこで再会した小学校時代の級友から教えられたのは、どうもルフ達は戦後の時代、彼の曽祖父が今ははげ山となった山で見つけて保護したらしいと言う事で。

 

 

「逃げてきたんです。全てから・・・・・・」

 

 

そして明かされるのは、ルフ達の事情。異世界の事情から逃げ出して来て保護されて。亮駕が見つけた謎の作品もエルフ関連のもので、それと現代技術を用いてはげ山を復興させようとしているという事。

 

「この世界にお礼ができました・・・・・・!」

 

それを阻もうとするかのように襲来する季節外れの台風。彼女の助けとなるためにその中へと飛び出して。魔法の要を元に戻すべく駆け抜けて。彼女の魔法、恩返しは顕現して。少しだけ二人の関係は変わるのである。

 

お隣さんから始まるほのぼの、ハートフルなラブコメであるこの作品。仄かな甘さを楽しみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: お隣の美人エルフの距離感が近すぎる件 ~私とイイコトしませんか?~ (ファンタジア文庫) : 福山 陽士, 昌未: 本