読書感想:聖女先生の魔法は進んでる!2 竜姫の秘めしもの

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:聖女先生の魔法は進んでる!1 落ちこぼれの教室 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様であれば、親友であったジェシカを失ったティアの心の傷は深く、そして周りの者達の心の傷もまた深い、というのはお分かりであろう。それほどまでにあとを残すこの事件、しかしまだこの事件は終わってはいない。本格的に物語が動き出す中、いずれ打倒すべき敵である黒幕も顔を見せるのが今巻である。

 

 

そして、先に言ってしまうと黒幕の病巣は根深い、というより割と面倒、とんでもない奴等が黒幕であると判明していくのだ。

 

「何も変わってないのよ、こういうお騒がせなところは!」

 

前巻でティアが為した偉業、それはレイナ達にとっても喜ばしい事、なのだがどう足掻いても彼女達の計画にも影響を与えてしまうもの。彼女達が黒幕、と目する王太子たちが動き出すのに合わせて動くべく、早速動き出していく。

 

「もっと言うと、越権行為の疑いがあるので出頭しろということです」

 

それを知らず、ティアはまだ全力を出せぬ事に不満を覚え、エミーは自分がまだ成長不足という事を悩んで。 彼女達の元にやってきたのは、今は元聖女なティアの同期、キャシー。彼女からもたらされたのは王都からの出頭命令。従うしかないので行ってみる、その先に待っているのは陰謀渦巻く聖都。

 

「好きにしろ。お前が望むのなら、幾らでも与えてやる」

 

再会したレイナが教えてきたのは、どうもアンジェの異母兄妹、サイラスが怪しいと言う事。 始まる審問会、ティアは大胆にも国中の禁域ダンジョン攻略の政策を打ち出し、サイラスは笑って認め。 だがその裏、彼と妹である王女、リリアリスが動き出す。自分達にとって価値のない、この国を焼き尽くす為。その為にまず障害を一網打尽にせんと。

 

舞台となるのは、新たなダンジョン、廃都アリステ。亡者たちが跋扈する滅んだ都、だがその亡者たちの様子はティアが知るものとはかけ離れすぎていて。 何者かの関与を疑う中、ティア達が不在の間にレイナ達が亡者の群れに襲われる、二面同時の危機が起きる。

 

 

「だったら頼りなさいよ! 信じなさいよ!」

 

ティアは確かに強い、最強クラスと言える。だけど彼女は1人だけ、同時に違う場所には存在できぬ。 どちらかを見逃すしかないのか、また失うのか。そんな懊悩の中、啖呵を切るエミー。教え子たちの真っ直ぐな言葉を信じ、彼女達にアリステ攻略を任せてティアはレイナ達の元へ。

 

「―――私たちにも背負わせなさいよ!」

 

自分ひとりで、自己犠牲的に背負い込んで終わらせようと。だけどレイナは言う。自分達だって戦えるから、と。 聖女も騎士も、皆覚えている。あの日の慟哭、その悲しみを。 だからこそもう後悔はしたくない、守り抜くために。 抱え込むのではなく皆で背負って。彼女達に露払いを任せ、自身は本命を打ち崩す。

 

我が闘争の相手として実に申し分ない」

 

それはサイラスにとって、望ましい事。望んでいた敵を見つけ、本格的に動き出すのだ。

 

全てが動き出す、本格的に始まる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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