
前巻感想はこちら↓
読書感想:この恋、おくちにあいますか? ~優等生の白姫さんは問題児の俺と毎日キスしてる~ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、誠に勿体なく残念な限りな事であるが、この作品は今巻で終わり、完結である。一先ず一巻でそのまま終了という事にならなくて何より、ではあるが。さてではそんな完結編となる今巻では何を描くのか。前巻では風間という言うなれば雑味があった訳であるが。今巻ではそれを廃し、ほぼ透衣とリラ、二人の関係と実は判明していくその過去に焦点を当てていく巻なのである。
「・・・・・・お前たちの目的って、なんなわけ」
リラの祖父、会社の会長とのぴりついた初顔合わせも終わり、リラの父親である雅人から秘密に告げられたのは、まだ隠しごとがあると言う事。それはメゾンを欲しい理由。どう考えても、どうしてもという理由はない。前巻の最後、見つけた写真を手に聞き出して、リラは透衣の憧れの相手であるカミーユの娘、という所までは判明するも理由は分からず。 しかしどうも、雅人とカミーユは別れている、という事のみは見えてくる。
「透衣くんのために、結婚するんだよ」
存分に心かき乱され、カミーユの事もしっているいちごにも相談する中、戻ってきたリラは衝撃的な事実を明かす。
それは、カミーユは四年前、自ら命を捨てていたという事。その理由の大元は、リラが雅人との結婚をねだってしまったから。その事実を知らず、待ち続ける透衣を救うため、結婚しようとしていたと言う事。 今まで待っていた縁が切れて、何もかも失った、ように思えて。まるで縋りつくように透衣は結婚の道を選び、リラはその姿を支えていこうとする。
だけど本当にそれでいいのか? 忘れるな、心の痛み。忘れるな、己の夢。
「今の透衣はマジでらしくない」
「お前は自分の好きに生きたいと思わないの?」
今までがむしゃらに突き進み続けてきた、みっともない足掻きにも何かを残せていた。いちごと真淵さんに叱咤激励され、ようやく初心を取り戻した透衣は父親とまた激突する事を選び。本気で激突し、父親の本心を聞き出して。メゾンは潰すも、シェフになるのは止めぬという妥協点を引き出す事には成功する。
それはリラが自由になる、という事。透衣は歩み寄ってきたいちごとくっつき、リラはモデルを本格的にやってみることを決め、東京に帰ることになり。 だけどいちごは、透衣の心の中にいるのは誰か気付いていたから。涙をこらえ、透衣を送り出し。透衣は駆けだしていく。
その胸の中にあるのは、カミーユの思い。娘の幸せを願い、彼との約束を守れぬ事を最後まで悔いて。それでも彼の幸せを願い、二人が幸せになる事を願っていた、愛。リラの思い。素直に言えなかった、真っ直ぐな恋。
もう分かっている、自分の気持ちも。ならば後は告げるだけ。花火の下、思いを告げて結ばれて。
「幸せになろうな」
そして新たな季節、あの人もきっとどこかから見守っている空の下、二人の未来、幸せになる事を願われた道が始まっていくのである。
この恋、おくちにあいますか? あったのならば、めしあがれ。どうか最後まで楽しんで。
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