さて、「オタクに優しいギャル」という言葉があるけれど、そういった言葉は、ごく最近になってから成立した概念である、というのは画面の前の読者の皆様はご存じであろうか。昔を懐かしむ訳ではないが、それこそ十年と少し前くらいはそんな事もなく。不干渉か、それとも馬鹿にされるかだったのである。
という語りはさておき、最近はギャルのヒロインと言う物も増え、キャラ付けとして理解力、またはコミュ力が高く誰とでも仲良くなれる、という要素をつけられる事が多いと思われる。この作品のギャル、琉花(表紙右)もまた、理解力が高くコミュ力の塊であるギャルだったのである。
「バトルアニメじゃん・・・・・・」
看護師である母親を持ち、友人でありギャル仲間であるひなるやめいりと、当たり前の日常を過ごす彼女。そんな彼女の通うクラスに突然復学してきた少女、銀華(表紙左)。まるでアニメキャラのような彼女に見とれるも、人付き合いが不器用過ぎでそうそうにヤバい奴扱いされる彼女を見、気になりだして早々。バイト帰りに謎の存在に襲われたかと思えば、輝く槍を携えた彼女と遭遇する。
一先ず彼女の家に招かれ教えられたのは、彼女が吸血鬼との争乱が終了した事でお役御免となったヴァンパイアハンターであるという事。琉花が襲われたのは、滅んだはずの吸血鬼の眷属であり琉花は狙われやすい血の体質である事。一先ず自衛の為に様々な対策道具を貰うも、対策用の銀粉をネイルに加工するという前代未聞の事態をやらかしていく。
「まあ、君らしいな・・・・・・」
思わず頭を抱えるも、まぁいいかと銀華は笑い。そのまま、吸血鬼に狙われる琉花と銀華は関わる事になり。
それは、琉花という自分にとっての非日常の要素と関わっていく事。そしてギャル、というのは時に自分の興味のままに、心のままに動くもの。銀華のメイクの下地としての良さに着目し、メイク道具を買いに引っ張り回したり。時にはひなるやめいりと共に、カラオケに繰り出したりして。それは彼女にとっては、今まで失われていた時間。
そこを阻むかのように現れるのは、事態の黒幕。吸血鬼という大敵が無くなった組織を憂いたが故に、今吸血鬼を復活させんとする者。この事態を解決する為、琉花を置き再び闘争の中に飛び込もうとしていく銀華。
「困った時に助け合うのも友達じゃん? だから、来た」
だが、もう放っておきたくないと言わんばかりに。大切な人達に背を押され、琉花はその場に駆け付ける。「友だち」を見捨てない為に、ギャルだからこそ思いついた戦闘方法を携えて。
「勝ってきてよ」
「無論だ」
そしてそれは、今までとは違い信頼できる仲間が背にいるという事。新たな力を得、銀華が負ける訳もないのである。
非日常女子と日常女子という凸凹コンビによる友情が炸裂する、弾けるような青春の面白さがあるこの作品。心を元気にしたい読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。