読書感想:異世界、襲来 01 プロジェクト・リバース

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は過去、幼少のみぎりにヒーローになりたいと憧れられた事はあっただろうか。紙面や画面を通し語り掛け、強大な敵との戦いを繰り広げたヒーロー達に憧れ、彼等のようになりたいと願った事はあられるだろうか。

 

絶望に世界が沈んだ時、ヒーローは希望の象徴となって現れる。ならばこの世界には正しく、ヒーローが必要だったのであろう。

 

それは何故か。その理由こそ異世界、襲来。その題名に全て込められている。この世界は突如として異世界と繋がる門が開き、数十年の間異世界との戦いを繰り広げてきた滅びかけの終末世界だからである。

 

半分以上が水の中へ沈み。残った世界では子供達が徴用され規律の崩壊した軍が市民を押さえつけ。終末を迎え滅びつつあるこの世界で生きる者達、誰しもが諦念と無力感に心の根底を支配されつつあった。

 

だがしかし、そんな世界の片隅でその絶望に否を叩きつける為にとある兵器が蘇った。世界に十二機しかない決戦兵器の一つ、人とエルフの技術が作り出した生ける鎧。その名もアスラフレーム三号、ルドラ。かつて着装者三号の名で呼ばれ親しまれ、人々の希望となっていた天翔ける英雄である。

 

そして、英雄の後継者となったのは軍に徴用され復活計画、プロジェクト・リバースに関わる事となった少年、ユウ(表紙左)。そしてルドラの意志を伝える生きたAI、クローンエルフとして生み出された少女、アイン(表紙右)である。

 

数々の適合者候補を跳ね除けたアスラフレーム三号に選ばれ、急速に力を身に着けていくユウ。彼が遭遇していくのは、諦念に縛られた世界の真実の姿。

 

自分達を抑えつけていた無粋な大人達も、大切な大人達も。纏めて吹き飛ばす異世界の暴虐。

 

疑心に駆られよそ者を警戒し、排除しようとする難民キャンプのような村落に集う人々達。

 

そして、そんな彼等の目に着装者三号が復活したという事実が映った時に希望の光が宿り、再び元気になった姿。

 

そう、アスラフレーム三号は正に人類の希望であり英雄であり。だからこそ彼にはとんでもないものが託されたのだ。

 

その託されたものに負けぬよう、未熟な英雄は懸命に一歩を踏み出し頼れる仲間達と共に戦場へと向かう。

 

「僕が・・・・・・そいつを着ればいいんだね?」

 

そう、この一言から全ては始まったのである。彼等の長き戦いも、英雄が再び世界の希望となる旅路もまた。

 

 

画面の前の読者の皆様、心を熱く激しく燃やしてほしいという方、かつてヒーローに憧れた経験のある読者様は是非読んでみてほしい。

 

きっと読み終えた時、貴方の心は燃え盛っているはずである。

 

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読書雑記:六月がそろそろ終わるので、明日発売の新作の中から個人的期待の新作及び続刊についてのお話。

こんばんは。六月もそろそろ終わるという事で七月が個人的に勝負の月であるという事を改めて実感し直している真白優樹です。では個人的な勝負の内容についてはその内報告させていただきますこととして、今日も発売日前日恒例の新刊及び続刊の報告をしたいと思います。

 

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異世界、襲来01 プロジェクト・リバース
著:丈月城先生
絵:しらび先生

 

ではまずはこちらの作品です。やはりこちらの作品は外せないと思います。数々のヒット作と手掛けてきた丈月先生が大人気絵師であるしらび先生とコンビを組み、事前宣伝も公式サイトを始めとして濃密に繰り広げられ、更には二か月連続刊行という気合の入れ様に期待しかありません。果たして、この作品はどんな大作となるのか楽しみです。

 

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転生したら、修羅場でした。 前世から待ち焦がれていた最強の元カノたちとの同居生活
著:秋月煌介先生
絵:ryota先生

 

続きましてはこちらの作品、MF文庫ではコンスタントに新作を刊行されている秋月先生の新作となります。秋月先生の作品は各作品ともに重厚な世界観が見所である事もあり、どんな世界が待っているのか楽しみです。

 

 

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星降る夜になったら
著:あまさきみりと先生
絵:Nagu先生

 

続きましての三作品目はこちらの作品。スニーカー文庫でキミの忘れ方を教えてという切なさと苦さ、そして甘さが人気を博したラブコメを手掛けられたあまさき先生の新作となります。事前のtwitterの宣伝ではかなり苦い恋の気配を漂わされておりますので、果たしてどんな恋が待っているのか楽しみです。

 

 

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今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。2 先輩、ふたりで楽しい思い出つくりましょう!
著:涼暮皐先生
絵:あやみ先生

 

では四作品目はこちらの作品。このブログでも感想を書きました作品の続刊となります。あらすじからして何やら不穏、何だか世界に騙されている気がしますが果たして何が起きているのか、楽しみです。

 

 

 

 

 

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カンピオーネ! ロード・オブ・レルムズ
著:丈月城先生
絵:BUNBUN先生

 

ではここからはダッシュエックス文庫の新作の紹介です。まず初めにこちら、かのカンピオーネ!カンピオーネスの主人公が一つの世界に集合する新シリーズという事もあり、どんなド派手なバトルが繰り広げられるか楽しみな作品です。・・・どうせならクロニクル・レギオンの主人公にも参戦してほしいのは私だけでしょうか。

 

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竜馬がくる
著:春日みかげ先生
絵:森沢晴行先生

 

続きましてはこちらの作品。春日先生といえば独自の歴史、戦記系シリーズの数々で人気を博されておりますが、どうもこの作品は実在の歴史の人物を題材にした作品のようです。果たして、見た事もない絡みを描いてくるであろうこの作品は何を見せてくれるのか、楽しみです。

 

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弱小ソシャゲ部の僕らが神ゲーを作るまで2
著:紙木織々先生
絵:日向あずり先生

 

ではここからはオーバーラップ文庫の作品です。まず初めは、このブログでも感想記事に致しました作品の続刊となります。粗筋から見ると何やらいきなりのトラブル発生との事で、果たしてどうなるのか。ここからが勝負の作品だと思うので楽しみです。

 

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Sランク冒険者である俺の娘たちは重度のファザコンでした1
著:友橋かめつ先生
絵:希望つばめ先生

 

では続きましてはこちらの作品。画面の前の読者の皆様も何処かで目にしたことがあるのではないでしょうか、友橋かめつ先生のお名前を。果たしてこの作品はどんな感じとなるのか、楽しみです。

 

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最凶の支援職【話術士】である俺は世界最強クランを従える1
著:じゃき先生
絵:fame先生

 

では最後はこちらの作品を。小説家になろうで大人気、個人的に私もweb版には目を通していますが、かなりダーティなやり口が見所であると言える作品です。果たして、この魅力はどうなっているのか、楽しみです。

 

 

以上、月末にかけて期待の9作品でありました。では明日から順次感想を上げていきますのでお待ちくださいませ。

 

読書感想:さよなら異世界、またきて明日 II 旅する轍と希望の箱

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前巻感想はこちら↓

yuukimasiro.hatenablog.com

 

やはり世界は滅びかけ、そんな世界で交わす約束は不確かかもしれないけれど、それでも確かな希望となるから。

 

さて、始まりの巻となる前巻でこの世界が滅びかけているという事を示しながらも、そこで懸命に生きている人達との出会いと別れを記したこの作品。ではこの巻では一体どんな物語が展開されるのであろうか。

 

その答えはまた、何処か温かくてほんのりと優しい物語という事である。

 

旅の道中での出会いと別れを繰り返しケースケとニトが共に旅を始めるまでを描いた前巻とは違い、今巻は前作である異世界喫茶の世界の繋がりも示される滅びかけの世界の中での旅の途中、とある「物語」を探す届け屋の少女、シャロル(表紙左)との出会いから始まる、旅の途中で立ち寄った村での数日の出来事を描いた巻である。

 

そして、そんな滅びかけていた村の中にも確かに生きている人たちが存在し、そこには幾つもの物語があったのである。

 

聖女様への祈りを欠かさない、靴屋のお婆さんがいた。

 

思索に耽りのんびりと隠居生活を楽しむ鼠の老人がいた。

 

滅んだ劇場に住み着く、自らの身体と性の不一致に悩む女性と、そんな女性に寄り添う恥ずかしがり屋の歌姫がいた。

 

あまりにも近くにいるのに、交わらぬ程に彼等の距離は何処か遠くて。そんな彼等を励まし、何とかしようとニトが提案したのはこの地方に伝わる伝統のお祭り、「灯花祭」の復活であった。

 

そして、準備を続け人々と交流を重ねていく中、ケースケとニトの二人は一番近くて一番遠い場所にいた彼等を繋ぎ、もう一度という希望を生み出していくのである。

 

互いを想うが故に擦れ違っていた親子を向き合わせ、歌姫を励まし舞台へ立たせ。

 

どこか諦念に縛られた作家をもう一度創作へと向き合わせ、そして探しものを見失い生きる希望を見失っていた運び屋の女性に希望を与え。

 

希望の箱、サブタイトルのその言葉が示すのは現代人なら誰もが持っているあの道具。そしてとある女性にとって新たなる生きる目的を示してくれた希望を詰めた、まだ見ぬ誰かへの贈り物。

 

「さびしいね」

「はい。さびしいです」

 

ずっとここにいたかった。だけど胸の奥、自らを突き動かす目的があるからこそまだ二人は止まれず。

 

「じゃあ、また明日」

 

「ええ、また明日」

 

だけど、当たり前な言葉で紡がれた何でもない約束が、こんな終わりかけた世界だからこそ明日を信じる希望となるから。

 

前巻にも増して、静かに染み入るような温かさと優しさが心に優しく響く、まるで心のお薬のように元気にしてくれる、静かで何処か寂しくて、だけど温かい今巻。

 

前巻を読まれた読者様は是非。きっと満足できるはずである。

 

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読書感想:転生魔王のジュリエット2

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前巻感想はこちら↓

yuukimasiro.hatenablog.com

 

修学旅行、それはいつもの日常から離れて違う舞台で綴られる日常のお話であると私は思う。しかし、この作品においてその国への修学旅行は、やはり一筋縄ではいかないものであるのだろう。

 

ではこの作品の修学旅行は何処になったのか? その答えはイリスの故郷、アブソリュート帝国である、というのが今巻のお話である。

 

ハルトにとっては正しく怨敵のお膝元、アウェーにも程があると言わんばかりの国。しかしそこはイリスの故郷であり、そこには自分の知らぬ彼女の顔があり、自分の知らぬ彼女を取り巻く関係があるのである。

 

その一つ、それこそが今巻のキーパーソンとなるイリスの許嫁、ヴァリオである。

 

無論、画面の前の読者の皆様も分かっていた節はあるであろう。ハルトとは正しく禁断の関係であり現状認められるわけもなく、そしてイリス程のお姫様であれば許嫁の一人や二人いてもおかしくない筈、と。

 

しかし、ヴァリオにはヴァリオでイリスと結婚できない理由があった。それは何か。それこそ、ハルトとイリス程ではないがこの世界の基準においては絶対に許されぬ恋、身分差恋愛である。

 

その相手については画面の前の読者の皆様各自で確かめてみてほしい。しかし重要なのは、ハルトとヴァリオはある意味似た者同士という事である。

 

そう、似た者同士なのである。確かに敵国同士である国に所属する二人の間に友情というものは成立しないのかもしれない。しかし、同じ恋の重さを抱えるからこそ。ぶつかり合える関係があるし分かり合える一線があるのも確かなのである。

 

そんな二人にイリスがちょっとモヤモヤしたり、再びちょっかいをかけてきた敵が今度はヴァリオの身体を乗っ取り大騒動を巻き起こすのに立ち向かったり。

 

「そこで大人しくしてるんですよ♪」

 

少しずつ世界を広げていくのかと思えば一気に世界を広げ、その中で久慈先生らしくエロスに満ちたハプニングを繰り広げながら魅せていくのが今巻である。

 

故に、画面の前の読者の皆様の中で一巻を読んだという方は是非今巻も見てみてほしい。確かな実力に裏打ちされた面白さが更に深まる様を見ることができる筈である。

 

 

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読書感想:シュレディンガーの猫探し

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シュレディンガーの猫、それは観測に関する不可思議な仮説。では神秘という謎は推理という観測をされることにより、只の謎へと貶められるとは関係ないだろうか。

 

さて、ガガガ文庫の編集長が直々に担当したいと申し出た、ラノベの自由さを体現したという能書きであるこの作品は一体どんな作品であるのか。

 

まるで未来を見るかのような不思議な景色を時折見る妹、弥生を持つ探偵嫌いの主人公、令和。妹が巻き込まれた謎を解き明かすべく訪れたとある探偵事務所。しかしそこにいたのは探偵ではなく、自らを魔女と名乗る謎の少女、焔螺(表紙)だったのである。

 

そう、探偵ではない。魔女である。では魔女である彼女は一体どうするのか。彼女は謎を解決しない。それどころか謎に更なるこじつけと仮説を施し、更に舞台を引っ掻き回し謎を迷宮入りへと持ち込んで見せる。

 

何故そんな事をするのか? それは彼女が神秘を愛しているから。神秘は神秘のままでいいと肯定しているからである。

 

まるで探偵、ミステリといった推理もののジャンルに真っ向から喧嘩を売るかのように自らの理論を叩きつけ、謎を神秘へと改造してしまう彼女。

 

しかし、こうは考えられないだろうか? 

 

確かに、推理という行為は謎を推理するという行動をする事により成立する。だが、解かなくていい謎だって確かにないだろうか。知る事で誰かに悲しみを齎す謎に隠された真実もあるし、解いたところで何も日常生活に影響のない謎の方が日常には溢れているかもしれない。そして、解き明かされるべき謎には探偵という存在は寧ろ不必要であるかもしれない。

 

そう考えると、探偵という存在に喧嘩を売り謎に味方し神秘で覆い隠すという彼女の行動は、ある種の正義でありトリックスターと言える可能性がある。

 

「今回のミステリーはこれにて―――迷宮入りだ」

 

この作品は言うなれば魔女が探偵小説をその心のままに蹂躙するお話であり、探偵と丁々発止のやり取りを繰り広げるお話であり、推理小説へのアンチテーゼである。

 

だがしかし、この作品はどこまでも自由である。だからこそ登場人物の誰もが魅力溢れる若さとエネルギーに満ちた、正にこれから名前がついていくであろう新感覚の面白さがあるのも確かである。

 

だから、画面の前の読者の皆様。

 

どうかこの作品の頁を開き、魔女へと挑んでみてほしい。

 

魔女との戦いの先、そこに見たことのない面白さが待っているはずである。

 

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読書感想:サンタクロースを殺した。そして、キスをした。

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様の中に聖夜に縁がある又はこれまであったという読者様はおられるだろうか。それはさて置き、もしサンタクロースが亡くなったら、クリスマスがなくなってしまったら貴方はどうするだろうか。

 

聖夜を控えた十二月初旬、それは既に街にイルミネーションが溢れ出し街が徐々に浮かれ出す季節。そんな中、先輩に振られた「僕」はクリスマスなんて無くなってしまえと街に佇んでいた。そんな彼に「少女」は声をかける。「クリスマスを消すことができます」と。彼女が持っていたのは、願いを叶えることができるという不思議なノート。

 

だけど、その願いを叶えるにはその願いを望まないという条件が必要だった。だからこそ、クリスマスを好きにならなくてはいけない。故に二人は疑似的な恋人となった。クリスマスを無くす為に。

 

始まる不思議な関係、その関係に名前を付けるのならばどんな名前が良いのだろうか。恋人同士、というには愛が無くて違う。友人、というのも少し違う。強いて言うならば、共犯者という名前が相応しいのだろうか。

 

そう、二人は共犯者同士だ。そして二人は、同じ痛みを抱えた同士でもあったのだ。

 

心に抱えていたのは人恋しさ、寂しさ。かつてとある歌でも歌っていた。一人じゃ寂しいから二人で手を繋いだ、と。だけど人恋しさ、寂しさという感情の本質は一体なんなのだろう?

 

何故寂しいのか? 自分の隣には誰もいないから? 何故人恋しいのか? 誰かに側にいてほしいから?

 

この作品の登場人物達により突き付けられるのは、まるで心を静かに侵し死へと静かに追い込んでくるかのような哀しくて切ない感情、その筈である。

 

しかし、寂しさと人恋しさと呼ぶには何処か異質な感情に見えるのは何故だろうか。そう見えてしまうのは何故なのか。

 

だけど、作品の紙面と文字を通して彼等は確かに伝えてくるのだ。理解できずとも伝われ、そう言わんばかりに押し付けて押し込んでくるのだ。

 

そして、その痛みの根底にあったのは生きづらさだ。この幸せな世界で生きにくい、生きづらさだったのだ。

 

誰かと誰かの間に成立している幸せと言う感情、そして繋がり。それが分からなくて弾かれるからこそ生きづらい。だけど、それでも生きていくしかないから例え破滅に陥っていくとしても、真っ直ぐに生きていくしかない。

 

だからこそ、僕と少女の出会いは偶然でありある種の必然、そして運命だったのかもしれない。

 

生きづらさを抱えて、だけど君と出会ったから繋がれて。だからこの世界を受け入れられた。

 

そんな二人を待っていたのはノートの残酷な真実と、未来へと繋がる微かな希望。

 

さびしんぼうのサンタクロース。クリスマスだから、泣いている」

 

二人の願いは確かにサンタクロースを殺した。その先でキスをした。だからこそもう少しだけ、この世界で奇跡を信じてみたい。

 

どうか画面の前の読者の皆様、この一巻で綺麗に纏まったこの作品を読んでみてほしい。彼等の物語を見届けた先、心に宿る名もなき思い。その思いを、彼等の純情で儚くて切ない、確かにそこにあった青春を言葉にしてもらいたい。そう切に願う次第である。

 

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読書感想:姉をさがすなら姉のなか 年上お姉さん×4との甘々アパート生活はじめます

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方はショタコンという言葉の語源はご存じであろうか。答えは各自検索していただくとして、この作品の主人公である彼も、同じく半ズボンが似合う少年であるというのは間違いないのであろう。

 

前述した半ズボンが似合うショタな少年、それこそがこの作品の主人公である高校一年生の主人公、要(表紙左)である。親の急な海外転勤で一人暮らしする事となり、かつて子供の頃過ごし救われた町へと転校してきた彼。そんな彼が一人暮らしする事となったアパート、「かりん荘」で出会ったのは四人の魅力的な、だけどちょっぴり変態で個性的な年上の女性達であった。

 

母性と大和なでしこを体現したような容貌を持ちながらもガチのショタコンで廃課金なソシャゲ狂いな鈴音お姉ちゃん(表紙右)。

 

サバサバとして何処かギャルっぽい、だけど可愛い不人気ユーチューバーな一夏お姉ちゃん。

 

表の顔は要の通う高校教師、裏の顔はFPS狂いのゲーマーな香奈葉お姉ちゃん。

 

ちょっとえっちな小説を書く小説家、年中ジャージだけど謎の趣味を持ついなほお姉ちゃん。

 

そんなお姉ちゃん達が要にとってはどストライクな存在であった。何故ならば、要は重度の年上好きもとい姉専であり、その根底にはかつてこの町で過ごしていた時、遊んでもらったちょっとえっちなお姉ちゃんとの思い出があったからである。

 

一言で言ってしまえば甘い。学生生活という幾多のイベントが発生しそうな舞台をばっさりと切り捨てて、一つのアパートを舞台に彼を気に入ったお姉ちゃん達が彼を取り合ったりしながら繰り広げる甘々いちゃいちゃが甘くないわけがない。

 

そして幕間で繰り広げられる、幼年期の要をからかったりスキンシップを取ったりする日々もまた甘いのである。

 

同時に、この作品は前述した四人のお姉ちゃんの中にいるかもしれない、過去に関わっていた「お姉ちゃん」を探す謎解きのお話でもあるのだ。

 

探していた光明は偽物による幻だと分かって。だけどその後唐突に現れた本物はあの日抱いていた好きという感情を要へと示して。

 

「だって僕は―――お姉さん専だから」

 

だからこそ、過去も今も全部取ってしまおうと彼は決意したのである。

 

さぁ、果たして本当にお姉ちゃんはこの中にいるのか。まだ語られていない事情や触れられていない登場人物にはいつか触れるのか。

 

ひたすらに甘い、甘やかされるいちゃいちゃとドタバタな日々が読みたい読者様は是非。きっと満足できるはずである。

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