読書感想:死亡遊戯で飯を食う。6

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:死亡遊戯で飯を食う。5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 その身を裂かれ続けて失って、その度に人工のもので継ぎ直して。幾多のプレイヤーを蹴落とし、今度は自分を慕ってくれた弟子まで。幾多のものを失う代わりに勝利を抱えていく幽鬼。前巻の最後、彼女の前に現れたのはもう一人の自分。彼女が一体、何故現れたのか。そしてその出会いの果てに何を見るのか、その辺りを書いていくのが今巻なのである。

 

 

「思い出せ。お前が本来、どういう人間だったのかを」

 

実際にはいる訳のない人間の存在を感じる事も出来る、磨き上げられた超人的な感覚。その感覚が生んだもう一人の幽鬼は、玉藻を手にかけてショックを受けている今の幽鬼をみっともないと断じ。元々はそんな、ぐちゃぐちゃとややこしいことを考えるような人間ではなく単純な人間だったと言い。思い出せ、と告げられて思い出すのは、人生の始まりとなったゲーム、「キャンドルウッズ」ではなく、本当の意味での始まり、今はもう覚えてもいない最初のゲーム、「メイデンレース」。

 

 

「なんだか、まるで、本物のデスゲームみたいな口ぶりじゃないですか」

 

体操服にて参加するそのゲームは、時間制限尽きのアスレチック。数々の障害が立ち塞がり、プレイヤーが少しずつ命を減らしていく中。最後まで寝ていて、生き延びるために容赦なく他人を突き落とした幽鬼。いざという時に残酷な選択肢を選べる、という事を同じく初参加であったプレイヤー、雪名に突き付け。見せつけたのは、説明を受けていないからという鈍感さ。この頃からどこか歪んでいた彼女。そんな彼女の意識は現実に戻り、今は彼女専属のエージェントとなった雪名に、一つの依頼を出す。それは鈴々への依頼。幻影を真正面から撃破する為、一番単純で効果的な縛り、それこそはいつもやっているデスゲームという縛り。

 

その要請の元に行われるのは模擬ゲーム、「スノウルーム」。立ち並ぶ真っ白な部屋を巡って問題を解き、ジャージや鍵を取り戻して脱出せよ、というもの。もう一つのセットで幻影役のプレイヤーが動く中、幽鬼も時に問題に間違えながらも問題を解き、少しずつ脱出へ迫っていく。

 

だが、それは鈴々の作ったゲーム。つまりスパルタな彼女の事、簡単なゲームである訳もない。更に幻影役を務めるのは、幽鬼の師匠である白士。どう考えても簡単にいく訳もない、そんな中で最後は幻影との直接対決になり。自分ごと巻き込んで撃たせる、というぶっ飛んだ方法で何とか生き延びて。

 

「グッドゲーム」

 

 

その先に得たのは更なる感覚。こんな経験すらも力に変え。幽鬼は再び歩き出していくのだ。

 

より面白さ増して、いつもとは違う面白さのある今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 死亡遊戯で飯を食う。6 (MF文庫J) : 鵜飼 有志, ねこめたる: 本