読書感想:やぁ“登校”に挑めニンゲン2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:やぁ“登校”に挑めニンゲン ~ゲーマー共は武器を片手に歪んだ校舎を踏破する~ - 読樹庵

 

 さて、時にであるがラノベにおいて脇役、サブキャラの面々に魅力があった方が勿論いいであろう。言うまでもない。ところで私の読友さんがこの作品をかの有名なバカテス、バカとテストと召喚獣の空気を感じると評されていたわけなのだが。バカテスの要素、と考えると足りぬものがあるのもお気づきである方もおられるかもしれない。

 

 

そう、主役にも劣らぬ脇役、いわば雄二と翔子のような存在である。という訳で今巻においては晴斗の親友である蓮司に焦点が当たる巻であり。いつもは悪友的なノリながら、大切な時にはお互いに命を預け合える相棒関係が描かれていく巻なのだ。

 

「怖いよあんたマジで・・・・・・」

 

前巻の騒動後、シディルの消失により迷宮攻略も一休み。晴斗や蓮司たちは生徒会の一員として新歓祭の準備をすることに。その途中で知る事になるのは先輩である夢吊と蓮司の昔話。八年前、幼き日の蓮司に姉であるという嘘を吹き込んで一年、その後は一か月ごとに、様々な役割のロールプレイを徹底するというおままごとで遊んだことで、蓮司の心に名状しがたき感情が生まれてしまった、というまぁまぁに重いお話。

 

「あたしたち、同じね」

 

そんな事もありつつ、最近やってなかったレイニとしての身体のメンテナンスをする中、夢吊が乱入してきて。あわや正体バレ、の危機かと思ったら何故か夢吊は嬉しそう。その理由はなんと彼女は、肉体をイーテルで構成したAIであったという事。自分と同類である、と勘違いした彼女と、正体を明かせずレイニとして友人関係になる事になって。

 

「この心は本物。あたしだけの宝物」

 

彼女から聞くのは、彼女の特異性。蓮司との「おままごと」の中で獲得していった「感情」。それは偽物ではなく、本物。ほぼすべての演算能力を、感情の為に費やして。AIとしての弱さの代わりに、唯一無二の宝物を得た。彼女はAIか、もはや人間と区別がつかない程なのに。

 

「やはり迷宮の攻略は終わっていなかった」

 

そこへ迫りくるのは今巻の脅威。突如学校全体を包み込む迷宮、それ自体は蓮司と夢吊が攻略するもどこか歯ごたえがなく。そして迷宮が生まれたという事は、この学園にAIが潜んでいるという事。捜索する中、中枢にて見つけたのは消えていなかった迷宮。その中には、下手人たるAIが感情を奪うという目的で、夢吊を捕らえていた。

 

立ち塞がるボス、それはシディルですら作らなかった、後略させる気のないチートな敵。シディルを解放し隙は作る。そしてシディルは蓮司に尋ねる。追加したルール、晴斗が死ぬたびに己が死の記憶を味わう事で晴斗を蘇生できる、命を懸ける気はあるのかと。

 

「お前は―――お前は、その恋のために死ねるのか!?」

 

「・・・・・・当たり前やろがボケ、余裕で死ねるわ」

 

だが、やらねば夢吊が死ぬ。ならば死ねるか、命を懸ける覚悟はあるか? 問われ叫ぶ、己の思い。己の恋の為、死ぬのもためらわぬ思い。

 

「・・・・・・じゃあ三回死ね。そしたら僕は絶対に勝つ。約束する」

 

想いを受け、晴斗もまた確約する。助けたいという名状しがたき思いを全力で叶えるために、親友を信じ、三回死ねと耐えられるだろと信じて。

 

「するんじゃないですか? 恋人同士なら」

 

その先に夢吊という強力な味方も得て。晴斗の恋は今日も進むのである。

 

男同士の名もなき男くさい友情が光る今巻。全館を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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