
さてさて、この世の中のどこかの漫画には「人の心ないんか?」という切り抜きにも使われる名セリフがあるらしい。人の心ないんか? 実に汎用性が高いセリフ、と言えるだろう。そう言いたくなる展開を見る事は、漫画やらラノベ、ゲームにおいてあり得るかもしれない。無論、そういう展開が好き、という方もおられるだろうなのでそれを否定するつもりはないのだが。しかし分からないと言われる方もおられるだろう。実際私も分からない。鬱、胸糞、曇らせとは何が面白いのか、魅力的なのかよく分からないしNTRなんぞ大嫌いである。
それもまた個人の好き嫌いにすぎないので、正しいも正しくないもないだろうけど。最近、エロゲなどのNTR役に転生してしまう、という始まりのラブコメというのは時々見かける訳で。この作品もまた、そういった作品の一つなのである。
R18ゲーム、「俺のハーレムヒロイン達がいつの間にか寝取られていて・・・・・・」。このゲーム、とんでもない仕様があった。ハーレムを謳っておきながら、最終的に主人公と結ばれるヒロインは一人、他のヒロインのフラグは全て折れ。その後、結ばれなかったヒロイン達は大体の場合、胸糞悪い過程と初見だとスキップ不可のエロシーンを経て破滅の結末を迎え。結ばれたヒロインも、そのまま幸せになれるとは限らぬとんでもないゲームだったのである。
主人公が転生したのは、この作品における寝取り役、零央。本来の主人公、楓の幼馴染である乃愛を狙う存在であり、典型的な竿役。しかし転生前は童貞大学生、そして寝取りも鬱も大嫌い。という訳で零央は決意する。ヒロインの全ての鬱フラグをへし折ると。その為にまずは楓がどのヒロインと好感度を稼いでいるか、を観察し。ゲーム知識をもとに動き出したのである。
「次やったら、どうなるか分かるよな?」
「俺の言葉を信じて俺の事を疑ってくれてありがとうな」
零央の武器は何か。それは竿役らしい肉体の強さ、腕っぷしとゲーム知識。まずは体育会系ヒロイン、アカリ(表紙左)がとある秘密を握られ脅されている所を助け。人を信じやすい生徒会長、栞(表紙中央)が乱暴されそうになっている所を助けて。
「・・・・・・二度と俺の女に近づくんじゃねぇぞ」
更にはオタク系ヒロイン、七々海(表紙右)の趣味を理解し同志となり。イベントに紛れていた鬱フラグを華麗にへし折って見せる。
さて、これを面白く思わない者がいた。それは本来の主人公である楓。零央を危険視するも、彼に惹かれつつあった他ヒロインに敵意を向けられ、零央自身からはそのヘタレぶりと空回りぶりを呆れられる事に。
さらに勝手に近づいてくるのは、ブラコンである楓の妹、さくら。零央と三人のお出かけに勝手についてくるも、その誠実さに少しだけ毒気を抜かれる事に。
「責任をとる」
その上で零央が向き合わされることになるのは、己の発言に伴う責任。責任を取る、そう言ってしまった。向けられるのは三人の好意。応えぬことは不誠実か、では一人を選ぶのはどうなるか。背を押され、肯定され。彼は三人を己の女にすることを決めるのである。
いい意味で男らしい、誠実な主人公の活躍が爽快感と納得感を出しているこの作品。鬱エンド破壊ものが好きな方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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