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読書感想:Tier1姉妹2 美少女プロゲーマーは僕なしでは戦えない - 読樹庵
さて、前巻で判明した事実は、菊莉と梅瑠は「桜音」の正体ではない、と言う事。つまり残るのは蘭香か、竹奈々か。織見もまた、思い出さねばならない。それは何故か。それは今巻のサブタイトルに書いてある。元カノ■女は僕なしでは進めない。そう、「桜音」も織見も、勿論他の姉妹たちも。全ての過去を清算せねば、先に進む事は出来ないのだ。
「そんなのずるいです! あたしだってせんぱいのこと好きなのに!」
だがまずは、前巻の出来事の続きである。織見を半ば強引に口説き落とし、暫定彼女の立場に収まった梅瑠。織見の所有権を恋人として、当然のごとく主張していく中で、突然竹奈々も恋心を主張し。やにわに織見に訪れるモテ期、だがそれは過去を知る菊莉から見れば、過去の焼き直しへの入り口。
「7年前の君が、私たちの中から、ひとりを選んだ場所だ」
梅瑠の肉体的接触も勢いを増して来て、竹奈々も彼女らしい攻め方を見せ始める中。菊莉が提案するのは、八月、家族旅行へ織見もついてこないか、というもの。その行き先は伊豆、四姉妹と彼の過去の欠片が眠る場所。決着をつける為、過去を思い出すためについていく事を決める。
「答えを・・・・・・掴んだかもしれない」
海ではしゃいだり、観光地を巡ったり。当たり前の家族旅行の中、巡りだすのは四姉妹の思い。梅瑠と竹奈々は言うまでもなく、菊莉は仲良く出来るなら、とハーレムを容認し、蘭香は過去を悔いるような言動を見せて。そんな中、織見がふとしたきっかけから掴んだのは、メールの送信時間のズレという事実。それは桜音の正体、に繋がりそうな鍵。
「君の姉妹を、舐めるな」
だが、その正体と目した彼女に聞いてみれば返されたのは、拒絶。それは織見の今の状況がまるで、忌むべき父親のようだ、と突き付けるもの。だけど、違う。父親とは違う、と一歩踏み出し告げて、心を引き出して。しかしそこで判明するのは桜音、ではないという事。梅瑠の部屋に隠されていたのは写真だけではなかった、という事。
つまりは一連の桜音からの接触は、「桜音」一人からのものではなかった。複数人の接触が重なったものだった。ならば本物の「桜音」とは。織見が気付いた真実、思い出の場所でようやく分かる正体。
「―――恋だったよ、きっと」
そこで決着をつけるのは、あの日の恋。確かに織見だけのものだったもの。きちんと決着をつけて、梅瑠との暫定彼氏の関係も終わって、自由になって。
『『『『誰のだと思う?』』』』
その先、待っているのはまた始める恋。四姉妹からぐいぐい来られる、恋模様。
一つ決着がついて、一つの章が終わる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。