読書感想:お嬢様頭脳戦 ~お嬢様は頭脳ゲームの完全勝利をご所望です~

 

 さて、頭脳戦というのは問われるのは頭脳であり、そこに貴賤、身分の差は関係ないものである。ではお嬢様、と呼ばれるような者達が頭脳戦をしている作品、と聞いて画面の前の読者の皆様は何の作品を連想されるであろうか。私は賭ケグルイという作品を連想したが、同じ作品を連想された方は、果たして画面の前にどれだけおられるであろうか。

 

 

と、まぁ今回の前書きは中々いいネタが思いつかなかったのでそろそろ感想に移らせていただくわけであるが。この作品は負け続きのお嬢様、に雇われた貧乏な少年が、頭脳戦の世界に再び舞い戻るというお話なのである。

 

色々あって百億もの借金を背負い、今は私立雪花学院女子校という真のお嬢様ばかりが通う女学校の隣の普通の高校で、何でも屋を営みながら暮らす少年、隼人(表紙右)。ある日、月のノルマの取り立てに会う中、声をかけて来たのは、雪花学院女子校に通うお嬢様、晴音(表紙左)。楽器ブランドを有する、今は不祥事でニュースにならない日はない大会社の社長令嬢である彼女にお願いされたのは、傾いた会社を立て直すために、次期社長たちが争う知力を使う決闘、「アクォード」に自分の代わりに出てくれる者、つまりは人探しに協力して欲しいとお願いされ、探し回る中で声をかけて来たのは晴音にとって「敵」であるお嬢様、加奈が挑んできたゲームで彼女を退けた事で、隼人の正体は加奈により明かされる。

 

それは、隼人こそはアクォードの世界ランカー、「連戦連勝」と呼ばれた存在であり、アクォードそのものを取り仕切るフィークリー家と戦い破れ、借金を背負ったということ。

 

「だから、私が選択肢をあげる」

 

既に折れてしまった心、受け入れてしまった現状。しかし、晴音はそれでいいのかと問いかけ、信頼と言う直感の元、隼人に提案をする。自分が百億で君を買う、だから自分を勝たせてくれと。それは策もない愚直な一手、そこに秘められたのは金、という確かなものでもない繋がりにかける心。どちらの地獄を選ぶのか、という選択肢を突き付けられて。隼人が選んだのは、再びアクォードへ、という地獄。

 

此処より始まるのは、執事としての戦いの日々。挑むゲームは時に缶蹴り、職業体験などゲームとしては拍子抜け、に思えるかもしれぬもの。だがその中で乱舞するのは札束と策略。次々現れるライバルたちに、晴音が持ち出していくのは財源。

 

「俺達は―――今、この場所を見据えて戦っていたんだよ」

 

その財源をバックに、隼人が考え出していくのは勝利への策。見据えるのは眼前の勝利、だけではなく。長期的な目標、後の「社長」、指導者としての勝利。時に迂遠に過ぎる方法を使い、その先にまるで魔法のように勝利を掴んでいくのである。

 

閃きと策が嵌る時、快感が待っているかもしれないこの作品。爽快感のある頭脳戦を見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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