読書感想:勇者の元仲間夫婦は田舎でのんびり幸せに暮らす

 

 さて、時に画面の前の読者の皆様も多分、スローライフがしたくなったことがあるかもしれない。煩わしい事から離れて何も考えず、のんびりしたい、と思った事があるかもしれない。しかしこの社会で生きていく以上、それは難しいものがあるかもしれない。それは異世界、例えば勇者パーティーであっても同じかもしれない。勇者は基本、魔王討伐が使命であるが。魔王討伐後、基本的には国政の世界に乗り出していったりする方が多いであろう。

 

 

それは勇者の仲間、も割と似たようなもの。国の重要な役職に就いたりすることも多いかもしれない。そう考えると、この作品のようにすんなり隠居できるのも珍しい、のかもしれぬ。

 

とある異世界、その中にあるトランクイル王国。その国の第二王女であり、勇者パーティーの回復役、聖女であったサナティア。そして魔王を討伐した勇者、フレミト。無事に魔王討伐も終わり、王国中の人々に祝福されながら結婚式を挙げる、その最中。

 

「ならその花の半分を俺にくれないか?」

 

もう一組のカップルが、式の最中に成立する。新郎の名はルード(表紙左)。勇者パーティーの戦士。新婦の名はフェリ(表紙右)。勇者パーティーの魔法使い。ルードのプロポーズから、お互いの思いに気付き。夫婦となって移住したのは、論功行賞で貰った田舎の領地。周りを魔獣も出てくる森に囲まれ、近くの集落からも距離がある、文字通りに何も無い場所。

 

「まあたいがいのことなら二人で乗り切る自信はあるつもりです」

 

当然、一から生活を作る、というのは大変なもの、となるだろう。だがこの二人には関係なかった。そもそも勇者パーティーの一員だったので戦闘力抜群、更に旅の中でサバイバル技術も習得済み。そんな二人からすれば一般人からすれば死の危険を齎す魔物であっても、只の飯の材料、豪華な食材である。

 

そんな二人は愛を育みながら、どんどんと生活基盤を整えていく。足りないものに思いを巡らせながら、魔物を食材として狩り厄介な魔物も狩って。近くの集落の人達とも交流し、若い夫婦として受け入れられて。

 

「うわあ、楽しそうだ」

 

満喫する、田舎暮らし。それは手紙を通じて、王都で政治の道に進んだフレミトとサナティアにも羨ましがられて。

 

「命の洗濯ってこういうことを言うんだね」

 

視察がてら訪ねて来たフレミトとサナティアと、久しぶりに仲間達全員集合ののんびりした時間を過ごして。時間にも追われず、人の視線も気にせず。正に命の洗濯、という時間を過ごしていくのである。

 

正にスローライフ、心穏やかな時間が繰り広げられるこの作品。のんびり肩の力を抜きたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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