さて、昨今陰キャラと陽キャラという括りはラノベの中では意味を持たぬ、というよりその垣根は無くなりつつあるものであるが、少し前のラノベであれば陰キャラだから、陽キャラだから、というラブコメもあった訳である。そんな時代をご存じと言う読者様も多分画面の前には一定数おられるであろう。 それはともかくとして。別に陰キャラが陽キャラ的な趣味を持っていても悪くはないし、陽キャラが陰キャラ的な趣味を持っていても悪くはないであろう。
さてこの作品はどんな作品かと言うと。テニスの凄腕選手でありモデルも務めるという八面六臂ぶりな美少女、朝日(表紙)との趣味で繋がるラブコメであり。平凡な日々が虹色に輝いていくお話なのである。
父親の外国への単身赴任に母親が付いていったために一人暮らし、従姉の営む洋食店でバイトする少年、黎也。唯一の趣味はゲーム、それもバイトして得た金を注ぎ込み、最良の機材を揃えるくらいには。 ある日、偶々帰りのバスで一緒になった朝日はいきなり話しかけてきて。
「実はさ・・・・・・私も結構好きなんだよね、ゲーム」
「今度、遊びに行っていい!?」
黎也がいつもゲームをしていると言う事をよく見ている彼女の言葉、その中からはにわかではないゲーム好きが伺えて。黎也の部屋に最高の機材があると知った彼女は遊びに行きたいと言い出して。断り切れず、彼女が遊びに来ることに。
「なら次は来週の土曜日で決まりね!」
遊びに来た彼女が見せるのは、いつも遠巻きに見ている凛々しい表情ではなく、年相応の楽しむ素顔。心行くまでゲームを堪能し、更なる予定も取り付けてきて。 陰キャには強すぎる刺激でぐいぐい来て、しかしゲーム好きという共通点で心の距離は近づき始め。気が付けばゲーム関連のものを一緒に買いに出かけたり、朝日の兄である大樹とゲーム関連の話題で意気投合したり、彼女の幼馴染である絢火にも一応は認められたり、と周りの者達にも受け入れられていく。
その最中、気になりだすのは彼女が一瞬見せた態度。大樹に聞く、朝日のテニスのルーツ。その最中、元テニス選手であった母親と喧嘩した彼女が練習中に家出してきて。一晩だけ、彼女を泊めることに。
「むしろ、その逆でしょ」
彼女が抱えるのは何か、それは明るすぎるからこそ、全てを照らし過ぎるからこそ抱えたもの。あまりにも背負うには重すぎる。それを何とかできるのは、期待をかけたことのない黎也だけ。
「そうやって一緒に楽しめるなら、それがどんな朝日さんであってもいい・・・・・・!」
どんな彼女でも、どんな顔でも。大切なのは背負わせる、事ではなくともにある事、共に楽しむ事。
「私、君のことが好きなんだ!」
その思いを真っ直ぐに伝えて、彼女の中に芽生える思い。それは恋、虹色の気持ち。その思いを真っ直ぐに黎也に向けるその宣言、そこからまた動き出していくのである。
弾けるような恋が見所であるこの作品。真っ直ぐなラブコメを見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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