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読書感想:千早ちゃんの評判に深刻なエラー1 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で不名誉な事に「ボマー」という異名を知らぬ所で頂戴してしまったこの作品の主人公、千早である。しかしその異名を解消するために何か行動が出来るのか、と言うと、そんな事も、ない。何せ彼女は壊滅的なコミュ障、解消するために人と関わる事も出来ぬので。そして最早彼女は後戻りできないのだ。言うなれば、運命力とでもいうべきものの縛りで。
その一因となっているであろうなのは、やはりアクターの個人情報の徹底的な秘匿のせい、かもしれぬ。 きちんと突き止めて話し合って、人となりを知れば何とかなる、であろう。だがそれが出来ない、相手の思惑なんて想像するしかない。だから致命的にすれ違ってしまうのだ。
「また戦闘依頼の優先順位が上がっちゃう。やだなぁ」
千早はただ、平穏に生きていきたいだけなのに。しかし、いつも貸出アクタノイドを部壊してしまいそれを補填するために故障機体を回収、売却しているので戦闘依頼ばかりをお勧めされる。
「ふへっ、美味しいものを普及するぞー!」
そんな千早も、女の子である。可愛いものは好きだし、女の子らしくスイーツだって好きである。だからこそ、時にはそういう欲望で依頼を受けることだってある。新界の植物を使った期間限定のケーキをいつでも食べられるようにするために、群生地調査の依頼を受けたり。
「ふざけんなよ、ボマー!」
しかしそこが彼女の不運の遭遇、賽子の出目が最悪の方向へ。気付かず踏み込んだのは三つの勢力ぶつかり合う戦場のど真ん中。彼女としては植物を守る為に、の行動が戦場を存分にかき乱し。進もうとしていた盤面を土台ごとひっくり返しぐちゃぐちゃにしていく。
「・・・・・・あんなあぶねぇ奴を飼ってるボスの顔が見てみてぇ」
誰にも飼われている、訳ではない。 寧ろ一匹狼である。
「大規模戦争が起こります」
起こす気などない。むしろその逆、平和主義である。だが知らず知らずのうちにやらかしているのは、そういう事である。新界全てをコントロールして、大規模戦争へと叩き込もうかと言う行いである。
「・・・・・・なんでぇ?」
そんな彼女に渡されるのは専用機、それはおいそれと利用できるものじゃない。だがそれは政府の犬、という誤解を招き。 彼女の知らぬ間に包囲網が、水面下で作られていくのだ。
まだまだ足りぬと言わんばかりに混沌が深まり、より変な笑いが出てくる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。