読書感想:死亡遊戯で飯を食う。7

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:死亡遊戯で飯を食う。6 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、めでたくこの度、この作品もアニメ化が決まった訳であり、このブログで感想を書いている作品はもう何作品アニメ化されたであろうか。数えている訳ではないが。この作品、アニメ化するとどんな感じになるのだろうか。血が出ない、のは確かであるが逆にそれがおどろおどろしさになる気もするのだが。

 

 

と、まぁそんな話題はともかくとして。前巻、幻影の自分との模擬デスゲームの中で超越した感覚と言う新たな武器を身に付けた我らが主人公、幽鬼。ではここからはその武器を生かしたゲームを描いていくのか、というとそうではない。今巻では一休み、寧ろゲームとゲームの間の日常に光を当てる巻であり、彼女の周りの日常も意外とヤバめというのが判明するのが今巻である。

 

「お前ら、漫然と生きてんだろ」

 

さて、幽鬼は表の世界では定時制高校の学生、というのは分かっているがそれ以外、普通のプライベートはどうなっているのか。彼女が住まうのは首都圏に位置する郊外都市、春楡市。最近地域の不良グループ「レッドベア」の活動が活発化しており、治安の悪さが加速している町。その街の最も安い賃貸物件の一つ、トチノキ荘。アパートに住んでいる老婆である大家の性格がまぁまぁ終わっていて設備もボロボロなため万年入居者不足。

 

何故か単身女性しか入居できぬここの一カ月に一度くらいの恒例行事、大家からの謎のお説教。 共に受けるのは、素性は互いに詮索しないほかの部屋の住人達。 謎の少女の八代衣、大学生らしき外国人、ラモーナ、不良グループの一員と思しき茜。彼女達とのお話になっていくのだ。

 

「なるほどねえ。意外と近くにいるもんだなあ・・・・・・」

 

実は殺し屋の名家の出身である殺し屋、の顔を持つ八代衣から唐突に相談を持ち掛けられ、意味深な彼女の態度にプレイヤーだと勘違いしてアドバイスしてみたり。

 

「慣用句ですかね?」

 

実はゲームにも関わる研究をしていたラモーナが誘拐される場面に遭遇し、助けて。彼女から勉強を教わったり。

 

時にアンジャッシュ的なドタバタもありつつ、穏やか、ともいえる日常。しかしその日常は、残る最後の一人、茜の関わる所で面倒事へ。

 

「今のチームは腐ってますよ」

 

彼女も所属する不良グループ、「レッドベア」。今までは暴走族、でしかなかったこのグループは副総長の紅艶が復帰してから、徐々に犯罪行為を厭わぬチームへ。そこにあるのは暴力と言う行為への酔い、居場所と言うものへの渇望。だがそれをよく思わぬ総長とそのグループとの間に亀裂は生じ、チームの看板を掛けた街一つ巻き込んだ抗争へ。茜に関わった事で巻き込まれた幽鬼は彼女に協力し。

 

「両方に公平にげんこつ落として、それでしまいにしてやる」

 

更にその抗争は、実は初代総長であったプレイヤー、真熊まで巻き込んで。終わらせるために三人で殴り込みをかけ、全てを終わらせる。

 

「どうです? せっかくですから、少しお話しませんか」

 

そして残る紅艶も、人々の憎しみの牙に人知れず闇に葬られ。 幽鬼の元に現れたのは尸狼。彼女が持ってきたのは、新たな遊戯への誘いか。

 

日常が描かれ、今までとは切り口の違う戦いに挑む今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 死亡遊戯で飯を食う。7 (MF文庫J) : 鵜飼 有志, ねこめたる: 本