読書感想:彼女を奪ったイケメン美少女がなぜか俺まで狙ってくる

 

 さて、先に明言しておきたい次第が、私の個人的趣味の範囲としてであるが私はNTRと書いて寝取りものは大嫌いである。そういう作品にはそういう作品なりの面白さがあるのであろうし、そう言った作品が好きな読者様がいるのはそれはそれでいいと思うが、正直私はガチめ、それこそ鬱系の要素を含む寝取り系の作品は、それこそ視界に入れたくない範囲で大嫌いである。

 

 

ではこの作品はどんな作品なのかと言うとであるが。広義的に言えば寝取りもの、に見えて。実はその裏、何か秘めたものを垣間見させる一筋縄ではいかぬラブコメなのである。

 

「やっほー、彼氏クン見てるー?」

 

横浜の中高一貫校に通う、オタク系な少年、颯太。彼にある日できた初めての恋人、江奈は、名家のお嬢様。しかし数か月付き合ったある日送られてきたのは、寝取りもので言う所のビデオレター。だが江奈の隣にいたのは男子、ではなく学校一有名で高校生ながらにモデルも務める美少女、静乃(表紙)であった。

 

「本当に欲しいのは―――キミだよ、颯太」

 

が、しかし。彼を呼び出し嘘か真かも分からぬ江奈の本心を明かしてきた静乃は明かす。まるで、将を射んと欲すれば先ず馬を射よと言うかのように、本当の狙いは颯太の方であると言う事。しかし彼女の騙る恋愛観を受け入れる気はない颯太に、静乃は一つの賭けを持ち掛ける。一カ月の間お試しで付き合ってみて、その間に堕ちるか堕ちないかの賭けをしようじゃないか、と。

 

「颯太のことが好きだから」

 

その賭けに半ば売り言葉買い言葉で乗り、始まる一か月限定の勝負。その中、お休みにデートしSNSで見せつけたり、いきなり颯太の家に押しかけて来てお家デートしてみたり、時には彼女の仕事現場で、仕事人としての彼女を見せたり。モデルの仕事もお休みして、全てのリソースをここに賭けると言わんばかりの静乃。彼女がぶつけてくるのはからかいの意思、ではなく正に火の玉ストレート、混じり気のない好きと言う思い。

 

その思いに触れ、自分の事を助けてくれた王子様的な一面を垣間見たかと思えば、恋に真っ直ぐ純情な彼女の、年頃の一面を垣間見たり。彼女をストーカーから守る為、颯太が不器用にもヒーロー的な立ち回りを見せることがあったり。

 

「今日みたいな日がこの先もずっと続くように、颯太のこと、絶対に攻略してみせるから」

 

そんな彼を見て、更に惚れたと言わんばかりに。一カ月という期間の半分ほどを、それでも濃密に過ごして。静乃は改めて宣言をする。

 

では元カノである江奈は完全に蚊帳の外か、というとそうでもない。まるで颯太に何かまだ思う所がある、と言わんばかりに意味ありげな視線を向けて来たり。信じている、という意味深な言葉を投げかけてきたりする。

 

だがその本心も行動の裏も、我々読者には教えてもらえぬ。だからこそ、今のところは推理するしかない。 ・・・・・・静乃が颯太に惚れた出来事が、彼も忘れた過去、にあると仮定して。江奈と静乃に何かしらの繋がりが合って二人の間に何かの取り決めがある、ようには見えるのだが。 ならば江奈は何故静乃に靡いたのか? そもそも江奈が颯太に接近してきた、そこにも理由があるのでは?

 

ならばそれが読めるよう、是非続刊まで見てみたい次第である。

 

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