読書感想:10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた 2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様であれば、勇を取り巻く三人の元クソガキヒロイン、未夜、眞昼、朝華の三人が集い、彼を巡るラブコメが本格的に始まった、というのはご存じであろう。しかし改めて状況を整理してみると、このラブコメ、意外とバランスがいいのかもしれない。そもそも未夜と眞昼と勇は生活リズムが違う為、中々時間が合わせられず。思いの重さ的にメインヒロイン一直線に見える朝華は県外、というデバフがあり。勇だけがある程度自由に行動が出来る、という面から考えて、割とバランスが良いのかもしれぬ。

 

 

と、それはまぁともかく、どどどどどーすんの? と言わんばかりにラブコメが始まっていく訳であるが。今巻ではラブコメの始まりと共に、それぞれの現状の立ち位置、スタンスについて描いていくのである。

 

「二人はずっと同じ街で暮らしてて、いつでも会える状況でしょう?」

 

勇と朝華の再会の後、来たるのは夏休み。朝華の久々の帰郷、勇も今年はいる、という状況が示すのは、やっと全員が望んだ時間が来る、という事。 合流早々朝華が抱き着いたのを未夜が咎めたらやり込められる、なんて出来事もありながら。夏休みはゆっくり、晴れやかに幕を開ける。

 

昔懐かしい市民プールで、少女達が確かに成長した事を実感したり。朝華のお願いで、また四人であの日の様に写真を撮ったり。まるであの日の思い出をなぞるかのような日々。その途中、それぞれの思いが明らかになると同時に、勇もまた変化に直面していく。

 

「子供、か」

 

 

朝華は無論、勇の事を手に入れたい。ずっと一緒に居て、思い出を乗り越えていきたい。だからこそ手を変え品を変え、勇に攻勢をかける。 対し未夜はまだ、想いに気付かぬ。気付かぬまま、あの日の様に兄妹のように。 そして眞昼は己の思いを封じ込める。行動して壊れるのが怖いからこそ、四人でいたいと願い我慢してしまう。

 

 

その思いの表、勇は時々関わるようになった新世代クソガキ三人組の一人、龍姫の母親が実は自分の同級生である、と知り。故郷に戻れぬ間に、自分の知っている世界が変わってしまった事、皆が皆それぞれの道に進んでいる事を気付かぬままだった、という事を知らしめられる。

 

「―――さえ作ってしまえば」

 

そんな心揺れる出来事の中、己の未来を考えるも何も思いつかず。旧クソガキ三人組とのキャンプの中、未夜が自分のテントに間違えてきてしまうと言うハプニングもあり。それに気づいた朝華は、前提の間違いを確信し新たな策を巡らせるのである。

 

それぞれの思いが動き出す夏休み前半戦の今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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