読書感想:クラスメイトの元アイドルが、とにかく挙動不審なんです。3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:クラスメイトの元アイドルが、とにかく挙動不審なんです。2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、約一年と少し前に刊行された前巻の最後、主人公の卓也とヒロインの紫音は無事に付き合いだしたわけであるが。付き合いだして、それだけでうまく何もかも進んでいくのか、と言われるとそういう訳ではないのだ。 確かに恋人同士にはなった、だけど恋人同士になった所で終わっていないのなら、物語は未だ続くのである。

 

 

 

「・・・・・・恥ずかしいね」

 

「・・・・・・だね」

 

しかしまずは無事に恋人同士となれた、と言う事でありまずは夏休みの残りで、恋人同士として愛を深めていく。かつてほろ苦い思い出へと変わってしまった花火大会に二人で出かけ、あの日のように咲き誇る花火の下で、自然とキスをして。あの日、紫音が言いたかったことも判明し、ほろ苦い思い出の色が変わっていく。

 

 

「・・・・・・よろしい、ならば通ってよし」

 

 

だがしかし、本番の波乱は、お楽しみはここから。 二学期になり、一先ずひみつにする事とはなるも、逆にそれが公的にいちゃいちゃできない、という状況を招き。更には紫音の運命力が足りず、席替えで席が離れてしまい。更にはイメチェンをした卓也が、何気に注目を集め始めた事で、紫音の中でやきもちという初めての感情が育っていく。その感情に抗う事が出来ず、結果的に少しだけすれ違ってしまって。では、それを解消するにはどうすればいいのか?

 

 

それは簡単な事、だけど踏み出すには勇気がいる事。迎える文化祭、メイド喫茶で紫音が躍動したり、卓也が紫音を賭けて一つの勝負を繰り広げることになったり。二人でお化け屋敷を回って、紫音が肝を冷やすことになったり。その最中、かつての仲間がサプライズで訪問してきて。またあの日のように、今度はステージは小さいけれど、皆でステージに立つことになって。

 

 

「この場を借りて、みなさんに伝えたいことがあります」

 

 

 その行動は、紫音をアイドルの道に引き戻すことになるのか? 答えを先に言うなれば否。一瞬の帰還のその先、もう満足したよ、と只人に戻った紫音は高らかに、卓也への思いを叫び。その思いを受け、卓也も勇気を出して答えるのだ。自分も好きだ、と。

 

 

それは青春の主張、あの人は自分のものだと言う宣言。まごう事なき、間に誰も入り込めぬという事実を皆に見せつけて。 学校と言う場にも二人が恋人同士である、という事実が刻み込まれ。二人は学校公認の恋人となるのだ。

 

 

より甘く、ちょっとのほろ苦さがその後に続く甘さを高めていく今巻。シリーズを楽しまれている読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。