読書感想：クラスメイトの元アイドルが、とにかく挙動不審なんです。２

前巻感想はこちら↓

読書感想：クラスメイトの元アイドルが、とにかく挙動不審なんです。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

　さて、前巻の感想の中で私はこの作品を「きらら的ラブコメ」と評した次第であるが、実際の所このラブコメは正に青春的で瑞々しい。心では思っていても、なかなか口にはしにくい、そんな思春期の等身大の感情に溢れているこのラブコメ。しかし前巻で主人公である卓也は、クラスメイトの元アイドルである紫音への思いを自覚したわけである。では自覚したら、進めるのだろうか。簡単に一歩を踏み出すことができるのだろうか。

無論、踏み出せたのならば苦労はしない。だが、そう簡単には進めない。前巻で付き合いだした孝之と桜子の仲睦まじい様子に羨望を覚えながらも、中々意識してしまって進めない。

「れ、練習なの！」

「あの子達とは、ああ、遊びに行くの！？」

　だが、今巻でも紫音はぐいぐい来る。卓也と共に出向いたパンケーキ屋で練習との名目であーんをしたり、他の女子から話しかけられている卓也に嫉妬してしまったり。そんな彼女のいじらしい様子に、恋心はさらに膨らんでいく。卓也の中で芽吹いた恋の芽が、少しずつ萌芽の時を迎えだす。

「わたし、好きな人がいるので」

紫音が告白を受けているのを見て、胸に浮かんだもやもや。彼女が自分から離れていくのは嫌だ、ならばどうすべきか。変わるのだ。その時はもう、来ているのだから。

　だからこそ、卓也は一歩踏み出していく。自分のイメージを変え、越えて紫音の隣に立つのに相応しくあるために。その一歩が、確かに彼と言う存在を変えていく。紫音の仲間を始めとして、多くの人達に認められていく。

「うん、やっと会えたね」

お膳立てと言わんばかりに、判明する過去の繋がり。紫音を変えたのは卓也だったのだと言う事実の判明。まるで運命的な繋がりと言う様に、二人の心が重なっていく。

「・・・・・・今日はしーちゃんに、どうしても伝えたいことがあるんだ」

　ならばもう、やるべきことは一つだけ。きちんと伝える事、重ねる事。ダブルデートの終わる間際、二人きりの観覧車の中で。ようやく卓也は自分から一歩を踏み出していく。その答えは何か。それはもう、言う必要もないだろう。ハッピーエンドに決まっているのだから。

確かに重なり、結ばれて。でも恋はここからが本番。だからこそ既にバカップルでも。まだまだこの恋は始まったばかり。