読書感想:エンド・オブ・アルカディア2

 

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読書感想:エンド・オブ・アルカディア - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、創られた理想郷をぶっ壊し、操る繰り糸を自ら断ち切り、「人間」になる資格を得た秋人達。しかし、彼等に世界は優しくない、というのは画面の前の読者の皆様も何となくお察しではないだろうか。彼等は戦闘能力はあれど、ごく普通の子供達に過ぎず。武力は持っていたとしても、大局を動かせる力はなく。そして彼等の強みである無限復活もまた、彼等自身の手で封じてしまったのであるから。

 

 

アルカディア」の破壊から早二か月。今まで敵対していた者同士、慣れないながらも手を取り合い。日々物資の回収に励み、時に余計なものまで拾おうとして喧嘩しながら。彼等を創り出したテレサ社からの刺客を跳ね除け、防衛戦に励む秋人達。

 

「あなたのせいじゃない。気に病まないで」

 

 しかしそんな日々を続けていては、物資のジリ貧的消耗は避けられぬもの。更には大量消費を前提とした身体だからこその病、通称「エラー517」が彼等の間に蔓延を始めていた。

 

その事態を打開する鍵となるのは回収されたデータの中。「JUNO」と名乗る人物が告げた打開策、それは八百キロほど離れた先にある医療施設に向かう事。しかし、時間は残り僅か。気が付かぬ間に残りの時間は二週間を切り。否応なく進む事を強いられた秋人達は、テレサ社の大攻勢から逃れる為にも今の拠点を捨て、全員でそこへ向かう事を決める。

 

 だがしかし、その道程は決して簡単なものではなかった。待ち受けるのはテレサ社の大部隊。しかしそれだけではなく。エルメアの特殊部隊、「否認されるべき特殊部隊」が。「アルカディア」の再生を狙い、彼等の事を鹵獲する為に動き出していたのである。

 

特殊部隊を率いる凄腕、呼称「グランドノート」に大苦戦する面々。簡単に制圧されその目的を聞かされ。その窮地を乱入してきたテレサ社の巨大兵器が盤面ごと覆し、その巨大兵器を利用して一縷の望みをかけて無謀な作戦に賭けて。

 

「―――あんたの想い、無駄にしない」

 

その最中、秋人の幼なじみであり相棒でもある玲奈の思いが吼える。気が付いた時には彼の隣を奪っていたフィリアから、窮地で秋人の事を託されて。その思いを叶える為に、玲奈は彼を援護する為に飛び出していく。

 

 

「これは油断できないわね」

 

「そうだよ。あんまり油断しないでね」

 

 戦いの果て、戦場に明かされるのは謎の一つ。だが、誰もが傷ついてもつかめたものがある。そしてここから始まるのだ。玲奈とフィリアの秋人を巡る戦いが。

 

 

前巻よりもよりひりついた戦いが楽しめる中、面白さが高まる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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