読書感想:エンド・オブ・アルカディア3

 

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読書感想:エンド・オブ・アルカディア2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で蔓延していた「エラー517」を克服する事に成功した秋人達であるが。画面の前の読者の皆様も彼等を取り巻く現状が如何に厳しいものかはご存じであろう。一度きりの命、彼等だからこその強みは既になく。対しテレサ社側は幾らでも物量を投入できるものの、彼等の物資には限りがある。一つの窮地を乗り越えても、新たな窮地にしかならないのである。

 

 

では、その状況を例え可能性が低くとも一撃でひっくり返すのならばどうすれば良いのか。それは至極単純。敵の本丸に奇襲という名のカチコミかけてひっくり返してしまえばいい。その鍵となる情報を持ってくるのは誰か。それは、テレサ社の大軍に包囲されじり貧の消耗戦を強いられていた秋人達に届いたSOS。送り主はアルカディアの開発者であり、今まで彼等を導いてきた「JUNO」こと、秋人やフィリアにとっては姉のような存在であった由乃(表紙)。

 

「ごめんね。大人って汚くて」

 

彼女により判明するのは、秋人と「否認すべき特殊部隊」の隊長が同じ顔であった意味。「死を超越した子供達」、全てに隠されていた真実。遼太郎は反発するも、一先ず彼女の力を借りることになり。彼女の手を借り、敵の本拠地を目指す。

 

 目的地はテレサ社が実質的に支配する、「楽園」と呼ばれる都市、ティーラ。そこに存在する本社ビルこそが目的地。そこに至るにはまずティーラの何処かにいる情報屋、「電磁蜘蛛」の力を借りねばならぬ。まずは潜入の為、地下鉄を用い潜入、とはいかなかった。アクシデントにより派手に乗りつける事になってしまい、早くも敵との遭遇戦となってしまうのである。

 

楽園と呼ばれる都市を縦横無尽に奔走する中、追手はそんな事は知った事かと言わんばかりに戦力をどんどんと街に放ち。追手から逃げる為に奔走する中、窮地に次ぐ窮地を駆け抜けていく。

 

息もつかせぬ修羅場の連続、そこに踊るは生きていた者、復活した者、そして形を変え生きていた者達の思い。窮地は続く中、仲間が浚われ、街の住人たちの手を借りて、本部へカチコミをかけていく。

 

「俺たち全員が、笑ってこの先の路を進むために」

 

その胸に躍るは、只一つの思い。全員で生きて帰る、未来へ進む。一人とて犠牲にしてなるものか。自分の命の生まれた意味なんてそこには関係ない、自分の意思で考えたその思いで。立ち塞がる「否認されるべき特殊部隊」の隊長、亜礼を忌むべき「アルカディア」の力を乗りこなし、刃を届かせ切り伏せて。

 

その果てに皆で見るのは、何もかもから解放された景色。未知の可能性が広がる世界で新たに交わすのは、未来へ続くための積み重ねていく約束。

 

最後まで勢いよく、心熱く駆け抜けていく今巻。最後まで是非楽しんでみて欲しい。

 

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