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読書感想：この△ラブコメは幸せになる義務がある。 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、この作品の三角ラブコメは「幸せになる義務」があるという。天馬を取り巻く麗良と凜華による三角関係はまだ始まったばかりであり、誰もが皆幸せになる義務がある。この三角関係は、文字通り、三人で幸せになるべきである。ではそこに関わってくる問題とは何であろうか。この三角関係においては、何が問題となってくるのであろうか。
「俺なんかが一緒にいて楽しかったのかよ、お前は？」
その一つは、天馬の鈍感さ。それは仕方のない事かもしれない。何故ならば彼の始まりは凜華に巻き込まれて、その思いを手伝う事になったから。彼にとっては麗良と凜華を結び付ける事が一番であり、自分は二人の間には不要であるから。しかし二人から求められている事を知らぬからこそ、ゴールデンウィークの中で少しだけ進展しても、肝心なところは進展しないのである。
そしてもう一つは、麗良の躊躇い。生来、我慢してしまうからこそ始まらぬ。だが今巻では確かに何かが始まっていくのである。
奇妙な三角関係が徐々に日常となり始めた頃。巡ってくるのは生徒会選挙。しかしそのままいけば、唯一立候補している麗良が無記名でそのまま当選するはずだった。だがそうはならなかった。バスケ部エースの文武両道なイケメン、辰巳も何故か立候補してきて。麗良にどこかねっとりした態度で接する彼が気に入らず、当然のように天馬も巻き込んで凜華の陣営として選挙に加わることになってしまったのである。
「麗良の家、矢代と一緒にお邪魔するわ！」
推薦人と言う事で別に関わる必要もなかったはずなのに、応援演説を任された凜華はやっぱりぽんこつで、天馬を当然のように巻き込んで。麗良の家では住み込みのメイドさん、沖田のヤバさに振り回されたりしながら。選挙に向けて対策を練る中、天馬は麗良が隠していた秘密を知っていく。
辰巳が指摘してきた麗良と現生徒会の間の問題。ひょんな事から代わりに引き受ける事になった麗良の日々の業務。その大変さを垣間見、痛感しながらも。今度は麗良を救うべく、天馬は必死に駆け抜けて彼女の心を救おうと頑張っていく。
「大好きな君に、自分を嫌いになって欲しくない。自分を否定して欲しくない」
凜華が愛した自分を嫌いにならないで欲しい。たまには文句を言ったっていい。不器用だけれど真っ直ぐに向き合う天馬の言葉が、麗良の心の壁を解きほぐして。今まで言えなかった不満をぶちまけた彼女は、晴れ晴れとした顔で舞台へと上がる。
「紳士協定、破っちゃったかもしれませんね」
その果て、辰巳の思いも明かされ新しい体制が始まる時。麗良は大きくなった恋心に導かれるかのように、最期の一歩を詰めて見せる。それは波乱への幕開け。否応なく来る混乱の始まり、なのかもしれない。
既に口火は切られた。果たしてここからどうなるのか。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
