前巻感想はこちら↓
読書感想:TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 2 ~ヘンダーソン氏の福音を - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、画面の前の読者の皆様は前巻のほろ苦い結末と終わった妖精達とのキャンペーンイベントを覚えておいでであろうか。前巻は妖精達と共に必死に戦いを繰り広げ、それでも何もつかめなかった我等が主人公、エーリヒ。しかし画面の前の読者の皆様、お忘れではないだろうか。元々は妖精達と関わるのが目標であるわけもなく。彼等の目的地は魔導院と呼ばれる施設のある帝都である。
そう、魔導院、そして帝都。エリザの目的地でもあり、エーリヒの目的地でもある帝都である。今巻では、一巻にも及ぶ寄り道を経てようやく帝都へと到着する。
では帝都で待っている景色とはどんなものか。その答えは至極簡単。エーリヒが今まで見た事もない、想像した事もない世界である。
朝は家に仕える妖精、シルキーが身の回りの世話をしてくれて。朝の道を往けば、聴講生と呼ばれる貧乏学生達が、朝の目覚ましのバイトを繰り広げ。道には学生を目的とした露店が並び。
今までお世話になっていた、荘とは似ても似つかない正にびっくり箱をひっくり返したかのような世界。そんな世界でエーリヒを待っているのは、新たな出会い。
アグリッピナの師であり極端な生命礼賛主義者な幽霊教授、エーリヒにとってはエネミーに他ならぬライゼニッツ卿。
アグリッピナに依頼され訪ねた、偏屈な写本作家、ファイゲ卿。
そして、「中性人」と呼ばれる人種で、一月周期で性別が入れ替わる、エーリヒにとっては初めての友人、ミカ。
奇人変人ばかりがエーリヒの元に集うのは、果たして奇縁か宿縁か。そして再び、エーリヒは賽子の女神の悪戯にかかる。あるいはそれもまた、愛されているという事の表れか。
ファイゲ卿の依頼を受け、消息の途絶えた冒険者を探し訪れた森。だがそこは動死体溢れる魔境であり、誘い込まれるように二人は森の中に発生していたダンジョンへと追い込まれてしまう。
「悲観主義も大概にしてくれたまえ君」
「ゴールが見えたと気を抜くのも危ないぞ、友よ」
立ち塞がるのは魔導院での修行とアグリッピナの指導を受け強くなったはずのエーリヒをも上回る強敵達の波状的襲来。だが今は彼は一人には非ず。側にいて背中を預け合える友がいる。
今までで一番あらゆるものの密度が濃く、更に心を突き刺してくる今巻。
圧倒的ファンタジーに埋もれたい読者様、前巻まで楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
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