
さて、時に画面の前の読者の皆様は、メイドカフェ、もしくはコンセプトカフェのような場所に行かれた事はあるであろうか。行った事がある、という読者様もおられるかもしれない。行きつけである店があるという読者様もおられるかもしれない。私は行った事はない。というか近所にもない。よくラノベを買いに行く都会の本屋の、最寄り駅の裏手にそれっぽい店が集まった場所がある、と知っているくらいである。
という訳でこの作品は、メイドカフェを舞台にした作品である。ただそれがある場所がとんでもない。舞台となるメイドカフェ、「あぽかりぷちゅ」がある場所、それは砂に潜り時に砂の上を進む戦艦、「アポカリプス」の中である。
原因不明の大量降砂により世界の大半が砂に埋もれ、今も尚定期的に降り注ぐ降砂のせいで平地には居住地を作れず、住むのは山や岩場。小さな共同体は部族を名乗り、大きな共同体は国家を自称しているこの世界で。砂に埋もれた東京を一人、さまよっていた少女、セグメ。飢餓も疲労も限界の所で現れたのは、謎のメイド、ハゴロモ(表紙)をメイド長とする謎のメイド喫茶、「あぽかりぷちゅ」。
「よーし! それじゃあ今日からキミはあぽかりぷちゅのメイドさんだぁ!」
セグメを追いかけてきた賊はアポカリプス主砲、巨大な空気砲の「デキンキャノン」で追い返され、セグメは行くところがないからここにおいてください、と言い。疲労で倒れてしまった間に、あぽかりぷちゅ店員の中で会議が行われ、監視付きで一先ず雇う、という事に。セグメは、猫耳メイドな先輩、マクマクを監視役兼指導役に、メイドというものについて教わる事に。
『では聞いてください! 「新人メイドなわたしが最強のメイドルになっちゃう件」!』
メイド、というものはよく分からない。分からない也に、頑張って知ろうとする。見た事もない世界に飛び込み、お客様をお迎えしたり、時に遭難者を助けて、その遭難者の攫われた家族を助けるために囮としてライブをしたり。今までは何もなかった彼女の中、初めてが降り積もっていく中で。マクマクと仲良くなり、更には副長のクラシカルメイド、クーのんや警備部所属のお嬢様メイド、スラっちとも少しずつ仲良くなったり。少しずつ、「あぽかりぷちゅ」内部での居場所が出来ていく。
「キミの力をボクに貸してほしいんだ」
そんな中、気になっていくのはハゴロモの事。クーのんから聞いたのは、彼女とハゴロモは元々グンマ出身であり、チュウブにあるレイホウ帝国をアポカリプスで襲撃に来たら火山の噴火で国を無くしてしまった、という話。ハゴロモから聞いたのは、自分を乗せた理由。自分と同じ、電気を操る超能力、「開電体質」と気づいていたからこそ、彼女に操縦士となってほしいという理由。そこへ迫る不穏の影。アポカリプスの操作を覚え始めたセグメを連れ戻しに来た、レイホウ帝国の軍人、ランダ。帝国に目を付けられる事態を避ける為、セグメは自分から戻る事に。
『きちゃった♥』
『セッちゃんお返しにならないとぶっ飛ばしますよ~♪ ご主人様~♪』
だが、それを追いかけてきた者達がいた。それはあぽかりぷちゅの仲間達。
「―――キミがボクの憧れだからっ!」
「わたしがメイド長に憧れていると言ったら驚きますか」
真っ直ぐに思いを伝え合い、戻ると決めて。追ってきた巨大ロボをデキンキャノンで尻餅つかせて。またメイドとして働くことになるのだ。
世紀末目な世界でドタバタちょっぴり感動な、少女たちの思いが重なるこの作品。心が元気になる作品を見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。