
さて、再起、という言葉にはポジティブな意味があるであろう。心折れたところからまた立ち上がる、的な意味があるであろう。ではそこに無限、という言葉をつけたのなら? どこか不思議な語感を持ってくるかもしれない。無限に再起する、とはどういうことか? それはこれから見ていこう。
ではこの作品はどんな作品なのか。この作品は、子供たちの命が軽い世界である。命は軽く、大人は汚く。そんな中でも生きる理由を探し戦う物語なのだ。
人類を食らう異形の怪物、ブラッド。通常兵器では対抗できぬ怪物たちに人類は、小規模な生存圏に追いやられ。そんな世界で、魔力を持ち生まれ、ブラッドと戦う事を使命づけられた者達、「マリオネット」を養成、戦士として送り出すための「学園」、それを有する「箱庭」は今の世界では、もっとも大きく栄え、そして階級の差が顕著な街。
「これからはわたしがあんたを飼うわ!」
そんなとある「箱庭」の暗部、「廃園」と呼ばれる場所の地下闘技場。過去、殺し合いにより決着する進級試験をクリアするもとある出来事により逃げ出した、魔力最弱ながらに最強の実力を持っていたイズル(表紙左)。そのトラウマから人を殺せなくなっていた彼の元に現れたのは、「学園」における後輩、イヴ(表紙右)。廃園での飼い主である老人の元から強引に連れ出してきた彼女は、退学していた筈が実は留年扱いになっていたと教えてきて。強引一直線に彼は連れ戻され、一週間後に迫った進級試験の相方にされる事に。
人を殺せぬイズル。そんな彼の相棒となったイヴは魔力はあるも上手く扱えず、必須技能である「魔装」も出来ず。どう考えても生き残るすべはない、それでも彼女は諦めない。
「わたしは、先に進みたいの」
「ただ、規格外なんだ」
彼女が語る生きる理由、それは先に進み外の世界を見たいから。彼女が秘めるのは、持たざる者であるイズルとは違い、規格外な魔力。
「それがおまえの本来の力だ、イヴ」
だが力があっても制御できねば宝の持ち腐れ。学園長であるセシルはイヴを弱いと断じ、切り捨てようとする。 いつの間にか、そんな彼女を死なせたくないと願っていた。イズルが導き出した本来の力。それはタイミングさえ間違わなければ如何なる武器も破壊出来、防御も貫通できる最強の力。
「許すも許さないも自分次第よ」
翻って自分はどうだ。かつて試験の場で殺してしまった少女、ノア(表紙奥)。実は妹で会ったイヴとの対話、その中で超えていくのは亡霊。今まで許せなかった己自身を許して。
「リミッターを外した」
遂に来るのは進級試験。立ち塞がるのは天才のマリオネット、レベッカと半分機械のマリオネット、ヘイトのコンビ。力の差は歴然、それでも諦める理由にはならない。全てをかけて叩き込んで、己の枷すらも外して。己を壊しながらの一撃で、勝利へと届かせるのだ。
ダークめでシリアスな世界観の中、切なる感情が交錯するこの作品。零真似先生の面白さを楽しんでみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
零落銃士の無限再起 1 (HJ文庫 せ 02-01-01) |本 | 通販 | Amazon