
時に画面の読者の皆様は、様々なゲームをプレイされた事はあられるだろうし、漫画やラノベを読んだこともあられるだろう。そんな作品達の中で、ラスボスという存在が出てくる作品もあったであろう。ではラスボス、というのはどのようにしてラスボスになったのであろうか。プレイヤー側である主人公たちには理解できぬ、悪そのものの信念があったりする場合もあるし、事情を知ってしまえば同情できる理由がある、いわば闇落ち的な理由でラスボスになった者もおるだろう。
という訳でこちらの作品においてはどうなのか。主人公であるユリフィス(表紙中央)はとある帝国の第三皇子であり、帝国に於いては忌むべき存在、魔物との混血である「半魔」であり。そして、婚約者であった隣国の姫、フリーシア(表紙左上)を物語開始前に失う事で結果、ラスボスとなる。大人気RPG「アビス・ファンタジー」の闇落ち系ラスボスであるのだ。
「・・・・・・だとしたら俺も覚悟を決める」
そんな事実を思い出したのは、後ろ盾であった皇帝、父が亡くなり毒を盛られて暗殺されそうになっていた時。本来は仮死状態になる液体とすり替える事で死を装う筈だったが、それではフリーシアを悲しませ、失うだけだと気づき。ユリフィスに転生し、ここに決意する。なれば覚悟を決めてぶっ壊してしまおう、と。
さて、ではまず何から始めようか? 原作においては六人の忠臣を得るも、今の手勢はなし。ならばまず仲間を引き入れよう。まず引き受けたのは孤児院にいた少女、マリーベル(表紙右下)。彼女もまた半魔であり、宰相の隠し子。いわば弱みを握ったことで宰相を協力者にし。療養の名目で、紹介されたわずかな手勢とフリーシア、メイドになったマリーベルを連れて各地を巡る事に。
「俺のような半魔や、亜人族とのハーフたちが当たり前のように生活できる国。差別のない新国家を俺が創る」
その胸に燃えるのは、原作では闇落ちし世界に戦火をまき散らしたラスボス、としての望みではない、新たな覇道への夢。戦火ではなく共存を。誰もが差別されぬ国を作りたい、という願い。
まず初めに出会うのは、未来の忠臣の一人、オーガとの混血である青年、ブラスト。領地を治める下種貴族に攫われた恋人を救いたいと願う彼を支援し、そこで裏に潜んでいた、「神正教会」の最高戦力の一人、ジゼルとも激突する事に。
「それが何で分からねえんだ。馬鹿が」
貴族を誅する為に動くユリフィス、その裏で新たな力を得たブラストはジゼルと激突し。見ているものは違えど、魔物の被害者、という共通点のあった二人は分かり合うことなく。結果、生き残るのは一人。
「―――では少なくとも二年後までに王になっておけ」
その後、その場を離れ、ユリフィスは新たな仲間を集めるために動き出す裏で。彼の策による兄たちの不和、そして復讐の芽は歪んだ運命の上で動き出していくのだ。
ラスボスとして、運命何ぞ知った事かと好きに突き進む、割と大河めいた大きな面白さがあるこの作品。骨太めなファンタジーを見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
ラスボスキャラに転生したので原作以上に覇道を進むことにした 1 (オーバーラップ文庫) | 城之内, 薫子 |本 | 通販 | Amazon