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読書感想:こそっと恥じらう姿を俺だけに見せてくる学園のお姫さま - 読樹庵
さてさて、前巻で始まった巧とリノアの、写真で繋がる秘密のラブコメな訳であるが。前巻で巧にとっての雇い主、雪やリノアの姉であるアリスも囲んで始まった彼らの関係。前巻でまだ解決していないものがある、のは画面の前の読者の皆様もお察しではないだろうか。それは何であろうか。それこそは、リノアとアリス、姉妹の確執。それを解決する事もまた、やるべきかもしれない事。
だけど姉妹は、本心ではお互いに憎悪ではない感情を持っているのに、中々真っ直ぐには向き合えない。そんな二人を素直にする、それもまた必要な事であろう。ではどうすればいいのか? その辺りにも光を当てていく巻なのである。
「そのわけを、きちんと、納得できるように、説明していただけますか?」
リノアのお誘いを断り、雪との写真撮影会に向かって週末。家に突然訪ねて来たリノアが訪ねてきたのは、雪との撮影会である筈なのに何故アリスがいるのか、その辺りの事情。それについては納得を得るも、巧のアリスへの呼び方を聞き咎められ、追及されてしまう事に。
「普通の写真なら見せられるよね?」
思い出すのは撮影会の事。何故かやってきたアリスに振り回され、リノアとの事を問い詰められた里。雪が初めての、併せ撮影を宣言して高揚したり。カメラマンらしく、仕事中はプロフェッショナル、被写体に欲などなし。しかし内心は辟易しつつも振り回されてしまって。
「意気地なし」
一先ず誤魔化す事には成功するも、ここから加速していくのがリノアの攻勢。今着ている下着の自撮りを送りつけて来たり、家に押しかけて来たり、アリスのように自分も名前呼びを要求して来たり。
「気が付いたら既読無視が溜まっていたと?」
「昔みたいに、お姉ちゃんと話がしたいです」
そんな日々の中、姉妹の間で見ていくのはそれぞれの思い。アリスの、うじうじと悩む心。そうとも知らず、嫌われているのではと悩む心。
「二人の距離は近めでお願いします」
ではどうすればいいのか? 決まっている、自分に出来る事を。それは何か。写真に他ならぬ。ファインダーを通せば素直になれる、ならばその舞台を。大一番のイベントの翌日、仕込んでちょっと騙す形で呼び寄せて。開くのはアリスとリノア、二人での併せの写真撮影。
「忘れられない夏休みにしましょうね、巧君!」
その試みは成功を収め、素直になった姉妹は仲直りへの一歩を踏み出して。好転しその先、夏休みが始まるのである。
前巻の忘れ物を拾い、新たな季節へ向かう今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: こそっと恥じらう姿を俺だけに見せてくる学園のお姫さま2 (MF文庫J) : 雨音 恵, ゆきみや 湯気: 本