
さて、どこぞの動物園にはシャバーニというイケメンと呼ばれるゴリラがいるらしいのだが、別に貶すわけではないのは予め断らせていただくが、ゴリラにイケメンとかあるのだろうか。正直、どのゴリラの顔も同じに見えると言う方も画面の前の読者の皆様の中にもおられるかもしれない。 実際、イケメンかはともかくとして。 ゴリラに恋をする、という事があれば中々に人間としては変わり者、と言えるかもしれない。
さて、ではこの作品のタイトルを見てみてほしい。隣のゴリラに恋してる、である。では隣にゴリラが本当にいるのか、というとそうではない、動物園でもあるまいし。ここには色々、そんな馬鹿なと言いたくなるような事情があるのだ。
軽い雰囲気と物言いを持ち味とするごく普通の少年、浩太。彼のご先祖様は言い寄ってきた呪術師を追い払った時に逆恨みで呪いをかけられてしまい。家の跡継ぎである長男は思春期になるころから、異性が動物に見えるようになってしまったのだ。しかもデフォルメされた動物、という訳でもなくリアルな動物。人間大サイズのリアルな動物が服を着ているように見えてしまっているのだ。
「何がどうなれば入学初日の教室でゴリラに思い耽るのか、教えてくれません?」
そんな彼も高校入学の時期となり。入学式、隣に座ったのはクール系女子である里穂(表紙)。彼女の姿はゴリラに見えてしまい、思わず口に出してしまい慌てて取り繕う、というある意味最悪なような出会いとなるも。持ち前のコミュニケーション能力で何とか取り直し。日々会話をしたり、ノートを写させて貰ったら高いものを奢らされてしまったり、と。 何気ない日々を積み重ねていく中。気が付けば、気になる相手になっていく。
「―――ボクとキミのご先祖に呪いを掛けた男は、恐らく同一人物ね」
しかし、やはり彼女はゴリラに見える。だから恋をするのに尻込みしてしまう。そんな中、彼の前に現れたのは、女の子ながら何故か男子用の服を着ている先輩、来那。聞いてみればどうも彼女の方は同じ呪術師に、女の子が男として認識されるという呪いを掛けられており。 彼女の叔母の事例から、両想いの異性とのキスが解呪の条件らしい、と知る。
そこで来那が提案したのは呪いを抱えた者同士、両想いになると言うこと。そこへ絡んできたのは、どこか面白くなさそうな顔をする里穂。勘違いされたり、呪いの事を明かす事になって信じてもらえずに傷つけてしまったり。
「俺、やっぱ里穂のことが好きだ」
だけど里穂の胸中、腑に落ちるものがあって。彼女が仕掛けたキスは、一瞬だけの解呪を齎して。彼女の思いを感じた浩太は決意するのである。
割と遠慮ない打てば響く会話劇の中、繊細な思いが交わされるこの作品。レベル高めなラブコメを読んでみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
Amazon.co.jp: 隣のゴリラに恋してる (電撃文庫) : 上月 司, がんこchan: 本