読書感想:レプリカだって、恋をする。3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:レプリカだって、恋をする。2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で先輩であり、レプリカでもあったリョウの消滅を見届けたナオとアキであるが。さて、そろそろこの辺りでこのシリーズを読み続けてきた画面の前の読者の皆様も気になられた事があるのではないだろうか。そもそも、レプリカとは何ぞや?、と。

 

 

ドッペルゲンガーのようなものと一応は定義されているけれど、本人が死んだ場合自分も消える、そしてよくよく見ると、オリジナルとは似ているようで異なっている性格を持っている。 自分のそっくりさん、という割にはよく見ると似ていない。では果たしてレプリカとは何なのか? その辺りにも触れていくのが今作品なのだ。

 

「私、学校行けなくなっちゃいました」

 

前巻の最後、素直から告げられたのはこれからは自分が学校に行く、という事。しかしナオは消される事もなく何故かお留守番という形で顕現させられており。家の外には出れぬ中、こちらも秋也が学校に通うようになった事で手が空いたアキがやってきて、こっそり二人で温泉施設に出かけたりする。

 

そんな中、巡ってくるのは修学旅行の季節。同じ班となった秋也と素直が京都へ出かける中、ナオとアキは二人、富士宮、リョウ先輩の故郷へ行ってみる事となる。

 

 

「だって私、誰にも優しくできない!」

 

 

「これは僕だけのものだ。他の誰かに、たとえ僕の分身が相手だろうと、譲ってたまるか」

 

それぞれの場所、木霊するのはそれぞれの思い。ナオのようになりたい、といい藻掻く素直は結局素直にはなりきれず、中途半端に周囲を傷つけてばかり。こうなりたいのに、という願いを叫べど届かない。

 

 

リョウの故郷、そこで遭遇したのは望月先輩。リョウの祖母が保管していた彼女が書いた絵の数々、確かにそこに生きていたと言う証と、二つの命を見届けて尚、二人の事を思う望月先輩の強い気持ち。

 

 

それぞれの場所、目の前に示されていくのはヒントへの欠片。それを繋ぎ合わせた時、それぞれの目に見えてくるのはレプリカ、というものの真実。それはきっと、知りたくもなかった真実。

 

「好きなほうを選んでいいよ、ナオが」

 

そう、レプリカの真実とは。そして、何故オリジナルとレプリカの、似た者同士は異なっているのかは。考えてみれば答えは簡単だった。そして何故、レプリカとオリジナルは同じ場所にいれぬのか。それは「観測」の問題で。

 

そして、素直から告げられるのは一つの提案。これまで通りか、終わらせるか。果たしてナオは何を選ぶのか。

 

次巻、いよいよ正念場。果たして彼女達は何を選ぶのか。最後まで楽しみにしていきたい。

 

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