前巻感想はこちら↓
読書感想:陰キャの僕に罰ゲームで告白してきたはずのギャルが、どう見ても僕にベタ惚れです 6 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の最後で遅れて来た真実、実は罰ゲームであったと言う事を知っている委員長がその真実を陽信に告げてきたわけであるが。 委員長はまだ知らぬ、陽信と七海の間の絆が恋を越え、愛になっている事を。と、いう訳で今更その真実を伝えられたところで二人の間には何の障害にもならぬ、というのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。
では何が障害になるのか、という事であるが。画面の前の読者の皆様、こう思われた事はないだろうか。この二人、一度くらい喧嘩した方がいいのではないか、と。うまく行き過ぎるのではなく、一度くらい拗れた方がより絆も強くなるのではないか、と。つまりはそういう事なのである。
「改めてだけどさ、ほんとひどいことしたよね私」
委員長からの密告、陽信にだけされたそれは当然七海にも共有され。改めて思い返してみると、まぁ二人の関係の始まりはとんでもないものだったな、と二人で苦笑いして。
一先ず訪れる夏休み、陽信は七海のためにバイトをする事となって。バイト先に選んだのは学校近くの洋食屋。そこにいたのは先輩バイトである年上の黒ギャル、ナオ。ギャルらしくぐいぐいと距離を詰めてくる彼女は、七海とは違い本物のギャル。独特の距離の近さに、陽信は押し込まれ。バイト中は当然関われず、話しを聞くしかない七海の心は散々に乱れる。
「やだ」
思わず溢れたのは、嫌だと言う気持ち。そこにあるのは初めての独占欲。思わず溢れてしまったその気持ちが二人の間を少しだけ拗れさせる結果となってしまい。 周囲から小さな違和感を以て不思議がられる中、陽信は二人の絆を取り戻すべく初美と歩の力を借りて、皆で海でのキャンプに挑む事となる。
「まぁ、それなら確かに心配だよねぇ」
改めて話し合って、お互いに至らなかった点を見つめ直して仲直り。遂にめぐってきた七海の誕生日では、特別なプレゼントを贈って、フライング気味に実質的な将来の約束を交わしたり。そして巡ってきた、夏休みの終わり、二学期。それは委員長と向き合わなければいけない、という時。
「全部知っても、変わらずに」
委員長の本心、それは横恋慕、等ではなく自分もまたかつて被害者だったからこそ、という思い。だけど同じ始まりであっても、自分達はもう違う。彼女とは別の在り方を選んだのだから、と真実を話して。委員長もまた、一歩を踏み出すのである。
より甘く、問題を片付け更に甘くなっていく今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。