読書感想:クラスで一番かわいい女子はウチの完璧メイドさん

 

 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様は、メイドさんはお好きであろうか。お好きと言う方は、メイドさんのスカートはミニスカートか、それともロングスカートかどちらがお好きであろうか。 と、まぁそんな趣味丸出しとなりそうな話は置いておいて。メイドさんがヒロインの作品、というと画面の前の読者の皆様はどんな作品を連想されるであろうか。

 

 

その連想も、各自で考えていただくとして。この作品においてのヒロインはメイドさんの、愛花(表紙)である。 しかしこの作品における世界は別に中世というわけでもなく、さらに言えばメイド文化が一般的である外国という訳でもなく。普通に日本である、では一体どういう事なのか。

 

「では、ご主人様。それなら、いっそのこと付き合ってしまえばどうでしょうか?」

 

早乙女、という名家の跡取り息子である少年、悠。生まれた時からその人生はレールの上に乗せられている、という現状に嫌気がさし、普通に生きてみたいと願ったら、愛花の手回しにより普通の高校に通う事となって。学校では仲の良い同級生、二人暮らしの家ではご主人様とメイド。二つの顔を使い分けながら、二人は共同生活をしていた。

 

二人の生活は、時に刺激的で時に揶揄いを以て。二人で朝ご飯を食べたり、雨の日に相合傘をしてみたり。彼女がいつ登校しているのかを確認しようと待ち伏せて見たら、何故か着替えを目撃すると言うハプニングに見舞われたり。少しほのぼの、どこかこそばゆい日々が続く。

 

しかしその日々は、「ご主人様」と「メイド」という仮面の元に。その仮面がはがれる時が来る。従姉である麻衣の来訪、彼女が持ってきたのは悠のお見合い話。その先に待っている未来は、愛花との別離。それが嫌だと断る為に、思わず愛花と付き合っていると嘘をついてしまい。疑う麻衣を誤魔化す為に、恋人同士のフリをする事となる。

 

今度被るのは、恋人同士という仮面。その仮面を通し関わる中、元許嫁同士であったと言う二人の過去が明かされていき、愛花がついていた嘘もまた、明かされていく。

 

「僕には・・・・・・君じゃないとダメなんだ」

 

 

「・・・・・・喜んで」

 

 

それでもいいと、裏切られてもいいと。自分が幸せになるには、もう彼女がいないといけないから、と。停滞を越えて、仮面を被らぬ自分自身として。君の事が必要だ、と真っ直ぐに伝えて。二人の関係は、ちょっとだけ深まっていくのである。

 

可愛いメイドさんとのもどかしい恋路が楽しめるこの作品。 こそばゆいラブコメを見てみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

クラスで一番かわいい女子はウチの完璧メイドさん (オーバーラップ文庫) | 出井 愛, なぎは |本 | 通販 | Amazon