読書感想:ギャルに優しいオタク君2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ギャルに優しいオタク君 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で幅広いオタク系の技術を使いギャルである優愛を助ける浩一、というこの作品独自の世界観は形成された訳であるが。この作品が一足飛びに進むか、と言われたらそういう事もない。この作品はあくまで日常に根付いている。だから一つずつ時間と景色を重ねて、ゆっくりと進んでいくのである。

 

 

 

「はい。なので今週の日曜デートしましょう」

 

文化祭も見事成功し、冬の季節へと部隊が移り変わろうとする中、浩一の頭を悩ます一つの問題。それは優愛の誕生日が近い、という問題。当然今までオタクで女子とも関わり合いのなかった浩一にとっては、女子にプレゼントなんて送った経験はなく。一先ず瑠璃子に相談し、いっそデートして一緒にプレゼントを選んでしまえ、というアドバイスを貰って。心でドタバタ悶えると言う事もありつつ、何とかプレゼントを選ぶ事にも成功する。

 

さて、そんな事もありつつこの先に何が起きるのかというとであるが。冬に行き、冬から年明けしバレンタイン、春までに起きるイベントを色々と描いていくのである。

 

ハロウィン、瑠璃子と浩一がキスしてしまったり。第二文芸部で愛してるゲームをしたり。冬のコミフェで、ひょんな事から優愛が浩一たちのサークルで売り子をしたり、優愛の家族と浩一が顔合わせをしたり。

 

優愛と浩一が二人で秋葉にいったら、メイド喫茶で何故か優愛が首輪付きメイドをする事になったり。初詣で何故か瑠璃子と浩一がバカップルみたいなことをする事になってしまったり。更にはバレンタイン、優愛が本命チョコを渡す為に二人きりになったり。大雪で休校になった学校で、皆で雪で遊んだりなんかもして。

 

「私、オタク君の事もっと知りたいな」

 

「僕も優愛さんの事、もっと知りたいので」

 

新しい季節、出会いと別れの季節が目の前まで近づく中、少しだけ二人の距離は近づいて。まだまだ互いに、その思いの根幹と言う肝心なところは見えていないかもしれない鈍感だけど。相手の事を知りたい、という思いが少しずつ高まっていく。2人が2人とも、互いに想いを向け始めていくのだ、無意識に。

 

少しずつ近づいていく距離、もどかしい心が何よりも愛おしく。そんなこそばゆい二人だからこそ応援したくなる。ゆっくりと甘さを深めていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は読んで欲しい。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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