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読書感想:陰キャラ教師、高宮先生は静かに過ごしたいだけなのにJKたちが許してくれない。 1 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、覇気もなし、やる気もなし。ついでに言えば彼女もなし。ないない尽くし、世の教師のイメージ象からは程遠く離れているかもしれない、我等が主人公の教師である高宮先生。そんな彼は、教師としては慕われる方なのであろうか。それとも遠巻きにされる方なのだろうか。
その答えは今巻を見ていただければ分かるであろう。意外と彼は慕われるタイプだったのである。それもまた当たり前の事であるのかもしれない。やる気は無さそうだし現実主義、しかしそれは教師の教育という理想論を押し付けてこない、自然体で接することのできるという事であり。何だかんだと仕事は果たすからこそ、きちんと見てくれるし叱ってくれる。だからこそ、慕われる。
しかし、きちんと仕事を果たすと言う事は見てみぬ振りをしないという事であり。結果的にそれは、再び彼を厄介事に誘っていくと言う事なのである。
「何かお礼をしたいと思っていたんです」
前巻で助けた教え子、千裕。買い物途中の彼女に出会ってしまったが運の尽き、何故か食生活を心配され、家にまで押しかけられ世話を焼かれる事になったり。
同僚である大津先生が困っていると言う相談を受け、さりげなく生徒達に注意されたら呆れられ。その後、彼女と二人きりで飲みに行く事になったり。
波乱万丈な日々を過ごす中、厄介事の影は高宮先生のすぐ近くに。その少女の名は結衣。しかし彼女は教え子に非ず。高宮先生の住まいであるアパートでの隣人である、自堕落な生活を過ごす大学生である。
何故かご飯をタカられて関係が始まり、偶々言ったお店が彼女のバイト先だったりと、特に望んでもいないけれど何故か繋がりが増えていく。
そんな中、高宮先生は結衣からストーカー被害を受けていると言う相談を受ける。溜息を吐きながらも仕方なく協力する事になり、教え子達も巻き込んで推理を巡らせ犯人を探る。
だが、高宮先生は探偵ではない。むしろ探偵になれる器でもない。全く見当違い、知りもしなかった事実があると言う事が判明し。意外な真実が晒される。
それは結衣にも原因の一端があるという事。彼女の無自覚で無責任な言動が、全ての元凶となってしまったのだという事。
普通であれば説教するかもしれない。怒るかもしれない。
「お前がこの先変わらないなら、金輪際俺に関わらないでくれ。俺の知らない世界で勝手にやっていろ」
しかし、高宮先生は怒らない。むしろ何処か冷たく、突き放す。しかしその態度は、寧ろ惹きつける鍵となる。
例え心の平穏を保てぬと分かっていても、それでも止められぬ。都合の悪い事を忘れようとするのを。大人として。
やっぱり何処か捻くれた、残念さ。その面白さが確かに一つ深まる今巻。
前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
陰キャラ教師、高宮先生は静かに過ごしたいだけなのにJKたちが許してくれない。 2 (オーバーラップ文庫) | 明乃鐘, alracoco |本 | 通販 | Amazon