
さて。時に画面の前の読者の皆様は狂戦士、バーサーカーと聞くとどんなキャラを連想されるであろうか。役職的にはfateシリーズ辺りのキャラを連想されるであろうか。かの作品でバーサーカーというと、ギリシアの大英雄に湖の騎士、ロンドンの切り裂き魔に人造の怪物など多種多様より取り見取りな訳なのだが。バーサーカー、と聞くと敵味方見境なく暴れまわる、といった印象があるかもしれない。
戦場で敵味方の区別がつかないというのは絶望的に使いにくい気はするが。だがもしその狂気を理性で乗りこなすことが出来たのなら、それは凄い力となるであろう。という訳でこの作品は、そんな狂戦士が最強の回復魔法を身に着け始まるお話なのである。
異世界の大陸、アルディアス大陸の中央部に悠然と存在するルクセリア王国。穏やかな平穏に包まれた「最も安定した王国」は、国境を守る者達により平穏を守られていた。その中の一つ、軍事国家と、魔物が徘徊する大森林、黒樹海の存在する東方の守りを務めるクレイヴンハート辺境伯家。 王国の盾と称えられるこの家は、五歳になれば鍛錬上に立たされる武に狂った一族。
「ちょっと、色々思い出してただけ」
そんな家の七人の子、末のアルド。ある日鍛錬中思い出す、前世の日本、孤独と退屈に満ちていた人生を。あんなものはご免被る、己という存在を世界中に刻み付けてやると決意し。己に天与された「狂戦士」という職業をどう生かすかと模索する中、思いつく。時代遅れと言われる「回復魔法」、これを極めれば狂戦士を制御できるどころか、止まらぬ狂戦士になれるのでは?、と。周りから嘲笑されるのも構わず、時に孤児院のシスターに教わりつつも独学で回復魔法を模索し数年。ある程度身につくも臨んだ結果は得られず。
「君のような才能ある者こそ、正しい土台が必要だ」
そんな中、通過儀礼である黒樹海での一年修行の中、出会ったのは旅する大賢者、伝説の人物であるナイミラ。彼女はアルドの中に可能性を見出し、教えてあげようといわれて。彼女の元で修行の先、回復魔法の先の再生魔法、更に古代文字であるルーンを使った刻印魔法も用いる事で、アルドの望んだ「無限治癒の狂戦士」、は完成する。
その成果は、次期当主と謳われる兄、シグルドを追い詰められるほど。この力をもって入学したのは王立アルティア学院、才の坩堝。「魔剣士」のリュークや「治癒師」のリリアといった学友も出来て穏やかな日々を過ごす中、何故か彼に敵意を向けてくる存在が。それは第三王女であり「剣聖」でもあるイリス。(表紙)彼女は何故敵意を向けるのか。それは強者たちが集う大会、王国戦技大会への代表選抜戦の中で明らかになる。
「そんなもん切り捨てろよ」
「だから、お前に教えてやる」
それは、王族という立場、剣聖という職業に期待されその期待にがんじがらめに縛られている彼女の羨望、慟哭。それを全て受け止め、もっとわくわくさせろ、己のすべてをさらけ出せと発破をかけて。吹っ切れた彼女と激突し、勝利をつかむのである。
いっそ狂気的に勝利を望む主人公の、ぶっ飛んだまでの勢いの活躍が見どころであるこの作品。胸打つ熱さを見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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