読書感想:人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話

 

 さて、言うまでもないが不倫とは犯罪である。何らかの法律に抵触する事は確定だし、露呈したのなら有責側は慰謝料取られるのがオチである。しかし、不倫とは無くならない。今ではセカパことセカンドパートナー、という呼び方もあるらしいが正直おためごかしな気がするし、言い換えてもその事実は無くならない訳だが。まぁ不倫と言うのが無くなる時はきっと永遠の愛が全ての結婚の場合において現実となった時なのだろう。 そんな時が来るまで不倫とは無くならないかもしれない。

 

 

さてではこの作品はどんな作品なのかと言うと。作者であられる入間人間先生曰く純愛もの、との事である。それはきっと間違ってはいない、筈である。しかしそこに付随する要素がアレな訳である。百合で不倫で裏切りで、というどう考えてもアウト、不純どころか不道徳な要素の欲張りセットな訳である。

 

高校教師、樹(表紙右)。二十代後半、既婚者。旦那とは新婚期間は通り過ぎ、別に仲が悪いという訳でもなく当たり前の日常がとても肌になじむけど円熟には程遠い。そんなある日、帰り道である街の中で出会ったのは教え子である凛(表紙左)が制服姿で夜遊びしている現場。一先ず声をかけ、その日は家に帰ってくれることになり。

 

「自分を大事にしてほしい」

 

後日、お昼休みに面談する事になり。そこで知ったのは、家庭環境の一端。自分を大事にしてほしいと珍しく怒ったら驚かれてしまい。 部屋に偶々あったボールでキャッチボールをし、それで凛は満足して。 彼女を家に帰す為、樹は時々キャッチボールに付き合う事になる。

 

「それはもう、誰もが認める正しいことだよ。誇っていいよ」

 

しかしそれだけでは事態の根本的な解決にはならぬから。バーで働く凛の元を訪ね知らしめられる、好きになれぬ価値観。自分の幸せを家族に見出さぬ、ある意味奔放な生き方。

 

「他の人に言うなんて、もったいないよ」

 

間を置かず、凛の足跡をたどる中でお酒に泥酔する事になり、凛の家に担ぎ込まれ更には粗相までする事になってしまい。 凛に秘密を握られ、その見えぬ牙に捕まっていくことに。

 

どんどんと近くなっていく距離感、それは正に愛する者同士の距離。旦那ともしない距離感、だけどそれがいつの間にか当たり前になっていく。

 

「戸川さんが一番、大事」

 

「好きだよ、せんせ」

 

気が付けば、まるでのめり込むように。彼女の事が特別になっていく。一番大事、えこひいき。勝手に周りに嫉妬して、凛と一線を当たり前のように超えていくと言うのを、壊れていく日常を過去の残骸をかき集めるように隠して、旦那に笑顔を向けて。その裏でのめり込んでいく、戻れなくなっていくのだ。

 

もっと早く出会っていれば、純愛だったかもしれぬ。だけど今、出会うには遅すぎた。だからこそ不道徳で不義理。そんな関係で結ばれた未来とは。

 

正に唯一無二、舌に突き刺さるかのような毒な味がするこの作品。エグくて苦めな作品を読んでみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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