読書感想:放課後はケンカ最強のギャルに連れこまれる生活  彼女たちに好かれて、僕も最強に!?

 

 さて、つい昨日のあたりに富士見ファンタジア文庫のかの伝説的作品、「フルメタル・パニック」が原作の二十年後程後の時間軸を舞台に「家族」という題材で書かれた新刊を刊行する、というニュースが出て私は狂喜乱舞したわけであるが。それはともかく、かの作品の舞台となった高校にも、不良的な生徒は存在していた訳である。しかし不良そのものが題材となった話は短編集くらいにしかなかった訳である。それは何故か。やはりヤンキーと言うネタは、ラノベでは中々見かけぬ題材であるからなのかもしれない。

 

 

しかしこの作品は喧嘩バトル×ハーレム、という中々に新機軸な作品であり、かの某MF文庫Jの作品のようにぶっ飛んだ力を持つヤンキー達が跳梁跋扈している作品でもない。ではどんな喧嘩が繰り広げられているのか。それは今から語っていきたい。

 

「あたしが、ケンカのやり方教えてやんよ」

 

生来の優しさ故に割を食い、本命高校の受験当日の数々に人助けを有するトラブルに行き合い、結果として不良高校として有名な聖ルキマンツ高校に進学するしかなかった少年、史季(表紙中央)。目立たず過ごせればよかったものの、とあるケンカに介入した事で不良共からにらまれパシリにされる日々。そんな日々の中、後輩である春乃を助けた事で高校の四つの派閥の内の一つのリーダーである女帝、夏凛(表紙左)にその男気を認められ、彼女から喧嘩の方法を教わる事となる。

 

彼には生来の優しさ、それに留まらぬ強さがあった。パシリをさせられる中で磨かれた脚力は、蹴りの威力を極限に引き上げ、既に武器を持っていた。ならば後は身に着けるだけである。彼女に指導され、不良に見えて実は真面目であったりカワイイ所もある彼女の素顔を見つめていく事となる中で、その仲間である冬華(表紙右)、千秋(表紙下)からも気に入られる事となり。結果的にその派閥の一人のようになっていく。

 

無論、史季からも何かを返そうとしていく。それが出来るのは勉強だけ。不良だから、という訳でもないだろうが春乃を含めて四人とも頭がかなり悪くて。時に不良をも怖がらせるキレ方を見せながら、彼女達に勉強を教える事となる。

 

いつの間にか、彼女達と過ごす時間が楽しくなっていく。憂鬱だったはずの学校が楽しみになっていく。だが忘れてはいけない、この学校は不良高校であると言う事を。夏凛が熱発で体調不良に陥った矢先、悪い部分が絶えぬ派閥の長、荒井によって春乃が拉致され、夏凛が分断される事態が起きて。千秋から夏凛をお願いされた史季は一人、彼女を救うために駆けだしていく。

 

その前に立ち塞がるのはかつての恐怖の対象、そして派閥の長という絶対的な恐怖。

 

「嘘は駄目だよ、荒井先輩」

 

「立たないなら蹴らせてもらうよ、僕と同じところを」

 

だけど、それがどうした。今、助けたい人がいる。ならば足を折る理由はない、膝を折る理由もない。虚勢でも胸を張れ、限界なんて踏み越えろ。何度殴られても立ち上がるその姿にあの日の弱気な姿はなく。強くなったその背は、見事な蹴りで悪を撃ち抜いていくのだ。

 

強くなるにも理由がある、そんな少年は格好いい。そんな格好良くて胸を熱く焦がす面白さがあるこの作品。胸を焦がしたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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