前巻感想はこちら↓
読書感想:毎晩ちゅーしてデレる吸血鬼のお姫様 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻を読まれた読者様であれば史郎とテトラの関係が、クロの強引な一手の誤爆、により一歩進む気配がというのはご存じであろう。前作をご存じの方であれば、岩柄イズカ先生というのは付き合うまでのもどかしい甘々、というのがとても素晴らしいと言うのはご存じであろう。この作品においてもそんな甘さが楽しめる訳、ではあるが。前作と今作を比べて一つ、明確に違う要素があるのはご存じであろう。
それはテトラ、ヒロインが吸血鬼であり吸血行為という独自の要素があるという事。もどかしい中でもそれが鍵となっていくのが、今巻なのである。
「それはもちろん、お嬢さまに後悔してほしくないからです」
史郎への気持ちを定義しかねて、答えを出せぬテトラ。メルから突き付けられたのは二人の寿命差。どう足掻いても史郎はテトラを置いて行く。だからこそ後悔しない選択を、と。 好き、であるのは分からない。でも気になっている、というのは認めてあげなくもない。
「いいね、やろっか、幼馴染み」
だけどまぁ、まだ気恥ずかしくて。 まだ認められなくて、まずは幼馴染同士という事で、一緒に居られなかった分を取り戻そうとしていく中。密着した体勢でゲームをしたり、史郎の朝ご飯を作ってあげたり。 服を買いに出かけたら、その店がバイト先だったまいと出会い、テトラと意気投合したり。
「男の子にドキドキしちゃうとかもう告白だよね?」
まいやメルたちとナイトプールに出かけて、史郎のしなやかな筋肉に見惚れてドキドキしてしまったり。そんなドキドキを隠せなくて、まいから最早告白では、とツッコまれたり。
「・・・・・・その事故は、今後絶対起きないって言い切れるのかな?」
その中、起きてしまったのはメルが史郎を吸血した、という事態。頭が真っ白になるほどに嫌だった、それほどまでにショックだった。まいに改めて突き付けられて気づく。史郎の血は横取りのタブーを犯しても仕方ない程に魅力的であり、学校でアプローチされる事があっても止められぬ。 自分の立場、意外と脆いものだ、と。
だったらどうすればいいのか。素直に、言えないのなら行動で。 史郎がお風呂に入っている所に乱入して、吸血して寝落ちして。ベッドに送り届けられたらクロのアシストで史郎に押し倒されるような形になって。
「・・・・・・はい。テトラも、しろーのことがだいすきです♡」
最早、我慢する事も出来そうになく。ならばもうきちんと向き合って。史郎の方から告白し、テトラもそれを受け入れて。やっと二人は結ばれるのである。
もどかしさと甘々が、ブレーキの壊れたブーストぶりで押し寄せる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。