読書感想:隣の席の中二病が、俺のことを『闇を生きる者よ』と呼んでくる2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:隣の席の中二病が、俺のことを『闇を生きる者よ』と呼んでくる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 

 さて、「闇を生きる者」としては偽物、丹に中二病であるだけの一般人である紅音と、本物の「闇を生きる者」、暗殺者、「黒猫」としての裏の顔を持つ猫丸とのラブコメである今作品。紅音の偶々出た一言によりとんでもないアンジャッシュが起きてしまって始まる訳であるが。紅音の方から矢印は向いているも、猫丸の方からは向いていない、寧ろ警戒バリバリ、というのは画面の前の読者の皆様もお分かりであろう。ではこの状況から、どう話は展開していくのか。

 

 

 

「なんつーか、流石同類だよな」

 

2人の手にかかってしまえば、調理実習もとんでもない場に早変わり。 まずエプロンを褒め合い、周囲に生暖かく認識されるも、特に猫丸の内心は穏やかではなく。更に劇物を生成してしまった猫丸の分まで、紅音が愛情込めて料理し、そのやり方を教えるも。やっぱり解釈がうまくいかなかったせいで、更に勘違いが深まってしまったり。

 

 

だけどそんな中、紅音の中で猫丸への思いが少しずつ深まっていく。友人である九十九に見守られる中、中二病なりにアプローチし、時に嫉妬したりしながらも、二人で同じ景色を見上げたり。そんな中、体育祭の季節がやってきて。二人で二人三脚に出場する事となる。

 

「殺すんですか? 殺そうとするんですか? あの時みたいに」

 

猫丸にとっては、紅音を暗殺する丁度良い機会。しかしその道を阻むものがいる。それは裏世界から引退した、元最強の暗殺者。今や彼女の忠実な番犬である彼女は守るために牙を剥き、きちんと彼女を見ろと諭してくる。

 

「やっと繋いでくれた」

 

そして、闇を生きる者、というフィルターを通してみるのではなく。家で一人、孤独に揺れる彼女を見て。猫丸の中、一つ、二つと思いが浮かんでくるのである。親父の言葉は絶対、ではなく彼女自身に対する本当にそうなのか、という疑念。そして今まで感じたことのない、彼の持ちうる言葉では言い表せぬ気持ちが。

 

そんな思いを抱いても、結局すぐに何かが変わるわけでもなく。それでも、続く日々の中。確かに一つ、何かが変わる音がするのである。

 

よりドタバタ、一つ秘密も判明しやっぱり勘違いも加速する中、二人の思いがほんの少しだけ深まっていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

Amazon.co.jp: 隣の席の中二病が、俺のことを『闇を生きる者よ』と呼んでくる2 (角川スニーカー文庫) : 海山 蒼介, 海原 カイロ: 本