読書感想:ブラックな騎士団の奴隷がホワイトな冒険者ギルドに引き抜かれてSランクになりました 9

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ブラックな騎士団の奴隷がホワイトな冒険者ギルドに引き抜かれてSランクになりました 8 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻まで読まれている読者様であれば、この巻がいよいよ最終巻である、というのはご理解頂けているであろう。前巻、アステアが差し向けてきた最強の精霊を未来の自分の力を借りて撃破し、冒険者から皇帝へと就任し。アステアの正体に関しても仄めかされて。ここから目指していくのは、完全無欠のハッピーエンド。皆が誰一人として欠けてもいけないのだ。

 

 

そう、つまりは誰かが欠ける可能性がある。それは誰か、勿論画面の前の読者の皆様ならご理解頂けているであろう。その辺りの問題についても触れていくのが今巻なのである。

 

「ふふ、この強さが私のものだと思うと心地が良いな」

 

大陸全土に一時の、仮初の平穏の時間が訪れ、帝国がジードの方針により今までとは違う方向に踏み込んでいく中。ジードとルイナ、そしていつもの面々は暫しの新婚旅行の中で一時の穏やかな時間を過ごす。だがすぐに、新たな危機はやってくる。アステアのいる精霊界へ逆にいく為の魔術をリフが用意を進める中、アステアにより大陸全土に精霊が送り込まれ。帝国の首都も陥落し、世界は一気に滅亡の危機に追い込まれる。

 

「あなたはなにか望みがあるはずです」

 

最早猶予は無し、ネリムとジード、リフ、ソリアの四人で精霊界へと突入し。真っ白な世界で見つけたのは、精霊の元締めであるアステアの本体。生き延びる為に交渉を持ち掛けてきたアステアに、命の終わりが迫るリフを救いたいからジードはそれを受け入れ。延命の術を知る代わりにアステアの存在を許す道を選ぶも、未来から来たジードにアステアはあっさり滅ぼされる。

 

 

未来の世界のジードが語る、無限に存在する世界でアステアを生かした場合の世界がどうなるかの未来。 その身を捧げることを選んだ無数のジード達の顛末。無論そんな未来は、今の時代のジード達も望むところではなく。未来のジードと激突する・・・

 

「わらわはこれからも生きておる。任せるがよい」

 

・・・かと思いきや、今の時代のジードが考えた、あっさりとした単純な作戦によりそんな未来は結果的に訪れることはなく。リフが生存している、というこれまででは全くあり得なかった可能性により、アステアという神の脅威を無くすための新たな方策への道が開けるのである。

 

これからも大変であるのだろう、だけどそれでも駆け抜けていく事を選んだ彼等。そんな彼等がこの先の未来も幸せに暮らした、というのはきっと語るまでもない事であろう。

 

シリーズファンの皆様は、是非最期まで楽しんでほしい次第である。

 

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