読書感想:死亡遊戯で飯を食う。2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:死亡遊戯で飯を食う。 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、自身の身体を改造し、命を賭ける代わりに生き残れば大いなる栄誉を得る、この「死亡遊戯」。そもそも誰が開催しているのか、バックに何がついているのか。そんな疑問が湧くかもしれぬ、が、先に言ってしまうと今巻でそれが明かされることはない。では今巻では何が描かれていくのか。それは前巻から続く遊戯、そして因縁である。

 

 

そう、因縁である。長くこの遊戯に関わっているのならば、同じプレイヤーと出逢う事だって何度もある。そして因縁、怨みという感情もまた。遊戯に立ち向かうには相応しい感情なのである。

 

「点数稼ぎさ」

 

前巻の最後、九度目のゲームから少しの休養を置き参加した十回目のゲーム。罠とケダモノが巣食う廃ビルから脱出し、その上で役立たずと思うプレイヤーを投票によって処刑する遊戯、「スクラップビル」。奇しくも幽鬼以外のプレイヤーは顔見知り状態、という状況から始まりお嬢様風のプレイヤー、御城が主導権を握る中。幽鬼は一人、脱落しそうになった者達も助け、遊戯の本質を見抜いた上で立ち回り生き抜くことに成功する。

 

・・・と、いう顛末は画面の前の読者の皆様ももうお察しであろう。何故ならば前巻、最初の遊戯は幽鬼にとって二十八回目であったのだから。だがここで描かれた顛末の中、幽鬼の知らぬ間に目覚めた因縁が三十回目の遊戯を控えた幽鬼に立ちはだかる事となる。

 

「三十の壁」、それは一つの区切り。生き延びれるかの分水嶺。不幸が次々と襲ってくると言うジンクスが現実になったのか、調子を崩し始める幽鬼。そんな中、前巻で描かれた遊戯の中で出会い死を見届けたプレイヤー、金子の父親に出会い。遊戯の闇を明かす為の行いに巻き込まれていく。

 

参加した遊戯、「ゴールデンバス」。百人ものプレイヤーが参加する、入浴施設を舞台にした脱出ゲーム。脱出のための靴を求め、札を求め自然とプレイヤー達が徒党を組む中、出遅れた幽鬼は同じく出遅れた者達のグループに参加し、玄関を占拠するグループ相手に特攻を仕掛ける事を余儀なくされる。

 

「死んでたまるか!」

 

頻発する幾つもの不運、その中で立ち塞がるのは幽鬼に恨みを返す為四十回もの遊戯を生き抜いた御城と、その弟子である狸狐。 彼女達とは違い、強い思いなんて持ってはいない。だけど、死にたくはない。負けたくない。自分にだって生き延びる理由がある。泥臭くも生き延び、幽鬼は呪いを超える事に成功するのだ。

 

だが、運営の闇を明かすことは出来ず。マネージャー越しに明かされるのは運営の思い。幽鬼の足掻きを望んでる者達が確かにいるという事だけ。

 

そんな事は知った事ではない、だが生き延びるのは当たり前。呪いも越え、幽鬼は新たな遊戯に向かっていくのである。

 

前巻よりも手際よく、スプラッタしつつも闇を煮詰めていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

死亡遊戯で飯を食う。2 (MF文庫J) | 鵜飼 有志, ねこめたる |本 | 通販 | Amazon