読書感想:なーんにもできないギャルが唯一できるコト

 

 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。皆様は「神絵師」と聞いてどの絵師の方を思い浮かべられるであろうか。皆様それぞれに推しである神絵師の方がおられるかもしれない。何なら私にだって推しである絵師の方がいる。もしそんな推しの神絵師に、自分がリクエストした絵をかいて頂けるとしたら皆様はどんな絵を描いていただくだろうか。私は、私の立ち絵を書いていただきたい。Vになったりする気はないが、ボディが欲しい次第である。

 

 

さて、という訳で今作品では「神絵師」という要素が重要となる。どう重要になるのか。それはここから見ていきたい。

 

クラスのカースト底辺近く、気の合う仲間と駄弁り、クラスのカースト上位であるギャル達を遠目に見つめる日々。そんな日々を送る少年、新太。彼は特に三次元には興味がなく、日々神絵師達を崇めていた。彼の推しが、「心ぴょんぴょん」というHNで活動する絵師。その絵師は彼の心をとらえて離さなかった。

 

「―――あんたホントに何もできねえな!?」

 

 そんなある日、突然舞い込んできたのは男手一つで育ててくれた父親の再婚話。新たな母親と顔合わせする間もなく、両親は新婚旅行に出かけてしまい、新太は義妹となる少女と二人でお留守番する事になる。その名は涼風(表紙)。同じクラス、隣の席にいるギャルであり。生活力皆無、というか壊滅と言っていい家事力の持ち主だったのである。

 

料理をしようとしたら、キッチンを蹂躙し。部屋の片づけをしようとしたら、一度片づけた上でもう一度散らかす、という事態を巻き起こし。本当に何も出来ない彼女に二度ツッコんだりしながらも手探りの家族生活が始まる中。新太は涼風の本当の姿を知る事となる。

 

それは彼女こそが「心ぴょんぴょん」の正体であるという事。彼女は新太のリクエストに応えると言う条件を引き換えに、生活のお手伝いをお願いする。だがそのお手伝い、というのは本当に多岐にわたるものであった。

 

寝れないから、と添い寝から始まり。着替えからメイクにいたるまで。絵のこと以外に関心がない、と言わんばかりの彼女に振り回されながらも懸命にお世話をする事となる新太。

 

その彼へと、クラスの地雷系ギャルである唯が何故か接近してきて。更には粘着質な「心ぴょんぴょん」のファンが、ネット上で執拗に絡んでくる。

 

答え合わせは、またいつか。そしてまだこの作品は始まったばかりであり。まだこの作品における「宝くじ」の本当の意味も明かされていない。では新太は一体、どんな当たりを得たのか。それはこの先、明らかになるのかもしれない。

 

作者である鈴木大輔先生の作風が好きな読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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