読書感想:死にたがりのシャノン ドラゴンに食べられてみた

 

 さて、実は現在twitterで話題の凍結祭りに巻き込まれて私のtwitterアカウントは凍結中な為、この作品の感想がどれだけの人に届けられるか分からないが、なるべく多くの人に届けられるようにするので、どうか皆様の所まで届いてほしいと願う次第である。なるべく早く復帰できれば良いのだが。そんなボヤキはともかく、画面の前の読者の皆様は不老不死に成ってみたいと思われるだろうか。老いもせず死にもしない、そんな存在になってみたいと思われた事はあるであろうか。

 

 

正直、私としてはなってみたくもあるし、なりたくもない。永遠にラノベを追えるのは素晴らしいかもしれないが、不老不死となるのは人の世の輪廻から外れるという事。それはきっと、何処までも孤独であるはずだから。

 

「私ってさ、不老不死なんだ」

 

そんな不老不死の存在である魔法使いの少女、シャノン(表紙)。少なく見積もっても二百年以上生きている彼女が不老不死となってしまった理由は、とある不慮の事故により。だからこそ、死ぬ方法を探して。彼女は今日もあっけらかんと笑いながら、少しでも死ぬ方法の匂いを感じ取れば、そこに積極的に首を突っ込む形で関わっていき。そんな旅の中、人の営みを目撃していく。

 

二百年前は無かった村に立ち寄り、村の者達と交流しながら襲来したドラゴンに食べられるために会いに行ってみたり。

 

豊穣祭に賑わう街を訪ねてみたら、幼馴染を犯す不治の病を治療する薬を作ろうと実権を続ける意思と出会い、死ねるかもという期待を抱いてわざわざ不治の病に感染してまで治験の実験台となり。

 

致死率百パーセントの迷宮の近くの街、心の折れた者達の集まる街で、迷宮に消えた息子の遺品を探す老爺に出会い、必殺の罠に死を求め、共に迷宮に挑んだり。

 

辺境の街を目指す中、新米魔法使いの少女と出逢ったかと思えば、不老不死を求める悪い奴に捕まってみたり。

 

「時間が限られているからこそ、その時間を濃密に生きていこうとする。みんなは魂が輝いてるんだよ」

 

 何れも終わりなき、当てもなき旅の中、出会うのは誰もが定命。一度しかない命を全力で生きているが故に魂が輝いている者達。そんな者達にどこか羨望の目を向けながら、決して同じには生きれぬと言う事実に寂しげに。けれどそんな寂しさを明るさの仮面で押し隠し。時に語り、時に救いながら。彼女は今日も、死ぬために旅をするのである。

 

どこかあっけらかんとした、ある種のほのぼのとしたロードファンタジー風のこの作品。短編集のように、すっきりと軽めな作品を読みたい皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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