読書感想:追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で最初の世界での相棒であったティアを仲間に加え、新たな世界への旅をつづける事となった主人公のエドであるが、画面の前の読者の皆様はこうは思われたのではないだろうか。この作品の追放は、いわば「円満退職」のようなもの、と言ってもいいのかもしれないと。事実その通りなのである。ネガティブな意味で追放されるのではなく、出会い絆を深めて、共に冒険して行ける所まで行って笑顔で別れる。その為に各世界を冒険するのがこの作品の目的であり、面白さと言えるのだろう。

 

 

だからこそこの作品は一種、ロードノベルと言ってもいいのかもしれない。だがただ、のんびりと旅をするわけではない。

 

「正直、幾つか変えたい未来がある」

 

「いいのよそれで」

 

 そう、エドには心残りがある。こうすれば良かった、あの悲劇は起きてほしくはなかった。それぞれの世界に残してきた後悔がある。見たくもなかった涙がある。だが、もう彼は一人ではない。傍らには相棒であるティアがいる。自分の望みを肯定してくれる彼女がいる。だからこそ、どこまでも自由に。忘れてきた心残りを拾うべく、エドは進み始めるのだ。

 

二つ目の世界、そこは人間の国と魔王が支配する国に挟まれた獣人、もとい「ケモニアン」の世界。かの世界で行われる勇者選定の大会、その中で上の思惑による八百長により勇者になってしまった青年、ワッフル。後に笑顔すらも失う彼を救うべく、八百長に嵌められた上に妹も魔物の襲撃で失った青年、ドーベンに関わり。ワッフルを鍛える傍らで彼の事も助け友情の仲立ちをし、共に冒険をし、試練の場まで導き別れ。

 

三つ目の世界、霧が人類の外界進出を阻む、海を往く海賊たちの世界。かつては勇者を探すも見つからず、情報収集だけに終わり。二度目のこの世界でも姉御肌の海賊、レベッカ(表紙左)の船に訳アリとして乗り込み、豪快だけれど気のいい海賊達と絆を深め。そして一周目で半ば確信していた運命の分岐点で違う行動をとる事で、レベッカを勇者の武器の元へと導いていく。

 

「だって私、今とっても幸せだもの」

 

 心残りを拾い集め、涙を笑顔に変えて。導けなかった平和へと導き、笑顔で別れ進んでいく。出会いと別れを繰り返しながら。繰り返しになるが、正にロードノベルのように。その中に温かさと爽快感があるからこそ、この作品は面白い。この巻ではその面白さが確実に一歩、レベルを上げているのである。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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