読書感想:追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双1

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 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。皆様は追放もの、と呼ばれる作品についてどう思われるであろうか。追放ものとは追放される事から始まるものであり、大概の作品においては追放された主人公は替えの効かぬ能力を持っているものである。だがしかし、もし追放がゴールであったのならば。追放される事こそが目的、であるならどうなるのであろうか。

 

 

傭兵であるエド(表紙左)が費やした時間、おおよそ百年。これは一体何を表す時間であるのか。それは、謎の現象により何もない部屋に転移させられてから費やした時間である。彼をこの部屋へと招いた神が如き謎の意思は言う。異世界で勇者パーティから追放されるたびに強力なスキルを授ける代わり、それを百回繰り返せと。今、彼はその全てを為し、ようやく帰還への扉に階をかけたのである。

 

 しかし、帰還を前にし今までに辿ってきた世界を覗き見る事を求められ。気紛れに覗いた最初の世界、そこが自身の離脱に端を発し、仲間達の壊滅と人類の敗北と言うバッドエンドに見舞われていたという現実を目にする。

 

唯一生き残っていたかつての仲間、ティア(表紙右)と再会すれど、かつて解放した禁呪による反動は彼女のみを蝕み。否応なく、彼の目の前で彼女の命は失われていく。

 

「全部持ってけ!」

 

  そんな結末は許せない。こんな結末は、変えてしまいたい。彼の胸を焼く、新たに見つけた願い。その願いのままに彼は一度きりのスキルを発動させ。過去の自分から全てを受け継ぎ、一度きりの全てのやり直しへと乗り出していく。

 

まず手始めにティアたちと共に冒険を繰り広げた世界へと乗り込み。過去の歴史を繰り返しながら、時に仲間を陰ながらサポートしたり、時に勇者達に武具を作ったり、聖剣を捜索したりと陰日向にサポートしていくエド

 

「何だよ。やればできるんじゃねーか」

 

そして訪れる二度目の離別の時。しかし、今回は前向きに、仲間達を守り抜き先に進ませるために追放され。魔王軍最強の強敵を人知れず退け、誰もいない空間へと戻り書き換わった結末を目にする。

 

 やはり追放こそがゴールの彼には、何も得るものがないのか。否。今回は違った。エドの事を気にし、彼の事を世界を越えてまで追いかけて来てくれた彼女がいた。

 

「よし、行くぞ!」

 

だからこそ、ここからは二人で。隣に取り戻した相棒を連れ、新たな世界へと踏み出していく。

 

追放に前向きに向かうからこそ明るく、人々の思いの温かさと熱さに満ちているこの作品。

 

いつもの追放ものに飽きた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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