読書感想:彼なんかより、私のほうがいいでしょ?

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 さて、NTRと書いて寝取りと読むジャンルがあるのは恐らく、画面の前の読者の皆様もご存じであるとして、画面の前の読者の皆様の中にもそういうジャンルが好き、もしくはそういうジャンルが苦手という読者様も一定数おられる事であろう。因みに私は苦手な方の人種である。それはともかく、NTRというジャンルの手法の一つの中に「快楽堕ち」というのがあるのは、画面の前の読者の皆様はご存じであろうか。対象となる登場人物の身体に強い快楽を刻み込んでその快楽を忘れられなくし、依存させていく事で徐々に心も奪っていくと言う手法である。

 

 

そんな手法を用いる場合、往々にしてその快楽を刻むと言う行為は背徳感を伴う事が多いし、何処か心を鬱にさせてくる時があるかもしれない。

 

さて、ここまで長々と個人的には長く触れたくない話題に触れてきたわけであるが、何故こんな前振りとなっているのか。

 

 それは、快楽堕ちという手法が実際に発揮されているから。但しそれは少女から少女へ。いわば百合として展開されているのである。

 

「あたし、好きな人ができたみたい・・・・・・」

 

とある日の放課後、ファストフード店の隅。幼稚園からの幼馴染同士である二人の少女、音々(表紙右)と鹿乃。だが唐突な音々の告白に今、鹿乃の心は揺れに揺れていた。

 

幼馴染に好きな人が出来た、相手はファンクラブも存在する生徒会長、川久保先輩。普通であれば喜ぶべきそんな事象。

 

が、しかし。鹿乃にとっては喜ぶべき事態ではなかった。それは何故か。何故ならば鹿乃は音々の事が好きだから。幼馴染ではなく、一人の少女として。

 

 そんな彼女の思いを露知らず、音々のお願いに協力をする事になり。焦りと自慰の快楽の中、自身の願いに気付いた鹿乃は唯一の方法を思いつく。ならば、寝取ってしまおうと。快楽を刻み込んで、男なんていいやと思わせて寝取ってしまおうと。

 

だからこそ、ここから鹿乃の作戦が始まる。

 

「わたしのことは、彼氏だと思ってね。わたしがすることは、彼氏のすること。そのつもりでリアクションして」

 

自身を彼氏役とし疑似的なカップルとなり。ある時はエレベーターの中、またある時は風呂の中、更にある時はカラオケの個室の中。あの手この手で音々の身に快楽を刻み、どんどんと距離を詰め。

 

同時に、様々な人脈を通じ川久保先輩の事を探り、何処かに弱みが無いかと探っていく。

 

 余裕の無さと焦燥感。そんな中でいっそ性急な勢いで繰り出される濃密な性行為。―――だが、その裏には「彼女」の思惑がある。全てを掌の上で転がす、「彼女」の思惑が潜んでいる。

 

(結局、NTRれたのは、誰だったんだろうね)

 

重い程の愛を抱いているのは彼女だけではなく。もう一つの重い愛が明かされた時、ここまでに感じていた味は全て反転してしまうかもしれない。

 

いっそブレーキなんてぶっ壊したと言っても過言ではない程の勢いで、一冊にまとめているからこそのぶっ飛んだ勢いの百合が展開されるこの作品。

 

一気に駆け抜けていく百合が好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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