読書感想:俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ

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斗和キセキ様、おめがシスターズ様。さてこの二組に共通する要素は何であるかという問題を出してみても、Vtuberという答えがすぐに導き出されるであろう。画面の前の読者の皆様であればきっとそうだと信じている。では画面の前の読者の皆様は推しのVtuberの方はおられるであろうか。その人への愛ならだれにも負けないと自負している推しの方はおられるであろうか。

 

 高校一年生、控え目な性格で周りから目立たず、どちらかと言えば孤立気味な少年、アズマ(表紙中央奥)。彼の幼馴染であり、露出を嫌い気弱な性格ゆえに周りから孤立気味な少女、ロコ(表紙右)。

 

しかし二人には、自分が置かれた状況なんてどこ吹く風と言わんばかりに夢中になれる存在があった。その名は∞ギンガ。動画サイト上でまだまだ未熟ながらも必死に活動する電脳アイドルである。

 

そんな電脳アイドルの中身の少女の名はアゲハ(表紙左)。アズマとロコのもう一人の幼馴染であり、クールで無口な性格ゆえに周りから孤立気味な少女である。

 

だがしかし、彼女は今夢を叶える為に電脳アイドルという道を邁進していた、故に気にもしていなかった。

 

お気づきであろうか、画面の前の読者の皆様。アズマ、ロコ、アゲハ。三人に共通する要素を。それは「孤独」であるという事。それぞれの性格ゆえに周りから浮いていて、だけどそれでも気にしていない同士。だが三人は幼馴染であるが、いつしかすれ違い離ればなれとなってしまった者達だ。

 

だけど今、お互いに∞ギンガの中身を知っている同士という事でアズマとロコは繋がり、その様子を見たアゲハは二人が愛し合っていると勘違いしてしまう。

 

その勘違いをこれでもかと、だが息ぴったりに否定しながら推し活動に励む二人は互いの愛をさらけ出しぶつけ合い、まるで相乗効果であるかのようにお互いの愛を深めていく。

 

だが、足りない。この輪には何かが足りない。それは誰か。言うまでもないだろう、足りないのはアゲハである。

 

 

一人じゃ寂しいから二人で手を繋ぎ、二人じゃ寂しいから三人で手を繋ぐ。

 

愛するだけじゃ進めない。本当の意味で繋がって、循環させる事が出来たのなら、きっと本当の意味で進める。

 

「二人とも大好き。あなたたちがいてくれたから、私は電脳アイドルとしてここまでこられた」

 

どちらの愛が好きとかじゃない。二人の愛が好き、アズマとロコ、二人の事が大好き。だからこそ、二人が背を押してくれるからこそ何処までも進める。

 

 この作品は、すれ違っていた三人の幼馴染が現実と電脳が交差する世界で、また友達としてやり直していく作品である。そしてファンとアイドルが一体となり、「アイドル」を作り上げていく作品なのである。

 

すれ違い、ぶつかり合い、向き合って、分かり合う。そんな青臭くて粗削りで、だけど純粋で瑞々しいこの青春を尊いと言わずして、何を尊いと言えば良いのだろうか?

 

絆を結ぶ尊さが好きな読者様、青春と友情が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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