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読書感想：【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。２ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で結花と遊一の間に様々な関係が増え始め、少しずつ二人の関係性を深めていく事が進みだしたわけであるが。楽しい日々を積み重ね、過去の事を振り返る事もなくなるくらいに今を充実させていく。それもまた大切な事である。だが、画面の前の読者の皆様。何かお忘れではないだろうか？ まだ何か、解決すべき、乗り越えるべきな部分が残っている事を皆様はお忘れではないだろうか。
それは何か。それは結花の過去の傷。今まで少しだけ触れられてきた、けれど遊一が敢えて踏み込んでこなかった苦い過去である。
そこに触れていくのは、夏を越え秋。巡り来る学園祭の季節で触れる事になる。が、しかし。その前に終わり往く夏についても触れておかなければならないだろう。
「ううん。いつもありがとうって・・・・・・思っただけだよ」
「・・・・・・こちらこそ、ありがとうだよ。遊くん」
日々の生活の中、何気ない感謝を伝え合う。正に夫婦といった感じの日々を過ごす中、遊一と結花の様子を見にやってきたのは結花の妹である勇海。男装専門のコスプレイヤーであり、王子様的な振る舞いで地元で女子からモテモテな彼女。
が、しかし。その王子様的な接し方が結花にはイマイチ受けず逆に疎まれる結果となるもそれを何とも出来ぬ、空回り系ぽんこつな一面も持つ妹である。
だが、その振る舞いこそは結花の心を守りたいと思った彼女自身の思いの発露。勇海に振り回され、実家でのちょっとやんちゃな結花の空気感を目撃したり。そんな中、遊一は結花が今まで秘密にしてきた過去を知る事になる。
何となく気に食わないという理由で嫌がらせを受け、徐々に学校で孤立し。心の傷に蝕まれ、結果的に一年間くらい不登校になっていたという遊一の過去に負けず劣らずの重さを持つ過去。
折しも運悪く、学園祭での出し物であるコスプレ喫茶に来訪したのは、結花のトラウマを刺激するかのような人種。
助けるべきか、飛び出すべきか。飛び出そうとしていく勇海。
「なんでも手を貸すだけが、『夫婦』じゃないだろ？」
だが、遊一は敢えて見守ると言う選択肢を選ぶ。信じていないから、ではなくその逆。彼女の事を信じているから、乗り越えられると今までの生活の中で知っているからこそ。敢えて手を出さぬというその信頼に、結花は彼等の目の前で完璧に応えてみせる。
無論、今巻はそんな胸熱な展開だけではない。コミケでデートしたり、家で学校モードの結花と触れ合ったり。
「・・・・・・私の忘れものはね。中学の教室に、あったんだ」
忘れ物を取りに行くのではなく、忘れ物をしたままで良い。これから忘れ物にも負けぬものを詰め込んでいけば良い。そんな、ちょっと大人めいた甘さもあったり。
家にも続き、学校でも甘さが溢れ始める。それが更なる甘さを齎す今巻。
シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。3 (ファンタジア文庫) | 氷高 悠, たん旦 |本 | 通販 | Amazon
