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読書感想：許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい？ - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、率直に言ってこの作品は積読からようやく消化できた作品でありまずは謝罪させていただきたい。綱渡りながらも三巻の発売が決まったらしいので、是非に皆様もこの作品を読んでいただきたい次第である。と、いう訳で今巻の感想であるが。そも、浩之と彩音の甘酸っぱいラブコメ、に終始できればよかったのだが、そうはいかない。それは何故か。
それは、きちんと答えを出さないといけない問題があるから。それは浩之の幼馴染である智美と涼子の二人の思い。無論、彼女達が浩之に思いを抱いていると言う事は画面の前の読者の皆様もお察しであろう。だが、今の彼女達は横から出てきた彩音に獲物を掻っ攫われたようなものだ。そんな彼女と共に、浩之は変わりだそうとしている。その彼から置いていかれそうになっている、その心が揺れぬ訳はない。
「それだけ、あの二人が大事ってことでしょ？」
些細な事で喧嘩して、いつもはしない絶交宣言までかまして。喧嘩の理由はくだらないけれど、そこまで拗れたのは何故か。それは勿論、浩之のことがあるから。それぞれの思いがそこに絡まるからこそ、譲れぬものがぶつかり合って。周囲には原因を察せられるけど、浩之はそれにも気づかなくて。彩音に聞かれ、少し表面化させるのは二人の間にいた者だからの答え。どっちつかずの二股宣言にも聞こえるそれは、しかし大切という事の裏返し。
しかしその間にも、思いは更に巡りだす。智美に思いを寄せていたかつての後輩、秀明も再び現れ絡み、浩之は突き付けられていく。とっくの昔にボタンを掛け違えていたという事、そこに至る原因は自分に合った、という事。
「―――いつだって、未来は貴方の手の中にあるんだから」
けれどまだ、彼は未来を選ぶ事が出来る。どんな未来を創るのか。いつか別れが必ず来るとしても、其処に至るまでの道のりは自分で作る事が出来る。もう逃げない、逃げたくない。何もからも、自分からも。きちんと向き合い、停滞から一歩踏み出して。
「―――あいつを、放っておけない。『一人』に、したくない」
選ぶのは彼女の側に居ると言う答え。好き、なのかは分からない。同情なのかもしれない。けれど、この気持ちは確かだからと。
その思いを受けれど、諦められる訳もなく。本当の意味で智美と涼子は恋の舞台に上がり。ここから本当の意味で動き出していくのである。
恋が走り出す今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
許嫁が出来たと思ったら、その許嫁が学校で有名な『悪役令嬢』だったんだけど、どうすればいい? 2 (ダッシュエックス文庫) | 疎陀 陽, みわべ さくら |本 | 通販 | Amazon
