前巻感想はこちら↓
読書感想:追加戦士になりたくない黒騎士くん - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻の刊行から早くも一年、前巻で何が起きていたのかと言うのは上記の感想をさっと振り返って欲しいわけであるが。前回、宇宙の最強、ルインの元に殴り込みをかけ五十時間にも及ぶ戦いを繰り広げた黒騎士くん、こと克己。彼の辿った道を考えてみると、これいわゆるMIAになっている気がする訳で。 世間的に見れば彼は行方不明、それどころか死んだかもという扱いをされていてもおかしくはない、訳で。
「あれから3か月、か」
あの戦いから3か月。ジャスティスクルセイダーの皆も探してはいるけれど黒騎士君の情報はなく。世間は今も、かのヒーローを失った悲しみからは癒えていなかった。
「もやもやした気持ちがずっと、今でも続いている感じです」
では克己はどこにいたのか、というと。ジャスティスクルセイダーの方に潜入していた回し者、白阿に拾われるも記憶をなくし。彼女の咄嗟の嘘で、弟であると刷り込まれ。克樹という名前で喫茶店でバイトしながら平和な生活をしていたのである。
その裏に合ったのは、白阿の、記憶を失ったのなら平和に暮らしてもいいんじゃないか、という優しき願い。だがその願いを踏みにじるように出現する怪人。 頭の中に響く声、メカ狼であるシロを用いて新たな姿である「白騎士」へ変身し。身体が覚えていた戦い方と新たな戦い方を用い、勝利を収める。
「か、帰ってきたんだ!」
それは怪人たちに、復活を知らしめるもの。そして記憶をなくそうとも彼の根底、ヒーロー性は消えておらず。民間人を守る為に戦いへ飛び込み、民衆からも周知されて。
「俺、記憶を取り戻すべきなのかなって」
白阿にもバレて、黒騎士時代の自分の動画を見せてもらうもいまいち自分とは結び付かず。赤や青といったまるで彼女達のような新たな力を発現させつつ戦う中、現れる怪人の集団。 人質に取られる大切な人たち、迸る怒りが白を黒く染め、彼女の力を使いこなす歪んだ形態を生み出す。
「やはりお前は私の運命だ!」
逃げる怪人を追い辿り着くのはルインの元、再びの激突、やはり勝てぬも彼女の事を一先ず満足させる事には成功し。 ジャスティスクルセイダーとも改めて出会い、自身の中に新たな思いが芽生え。 彼女達の方でも、白阿の方から克樹へと繋がり始める。
だけど、まだ。 封じられた記憶、其処に何があるかまではまだ。 記憶の鍵が開いてその闇が溢れた時、それはどんな力を生んでしまうのだろうか。
新たな立場となり、物語がまた動き出す今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。