読書感想:妹のほうがお姉ちゃんより可愛いですよ、先輩?2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:妹のほうがお姉ちゃんより可愛いですよ、先輩? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、姉である彩陽よりも自分の方が可愛いと主人公である理玖に迫る妹ヒロイン、亜月。だがしかし、この巻の節々で語られる彼女の未来の光景はどこか暗く、どこか切ない。何故か彼女は一人きり。どこか離れた場所で理玖を想う亜月。では何故そんな事になっているのか。その真実は今はまだ分からないけれど、彼女自身の述懐によりこの巻で語られる内容こそが重要であると語られる。

 

その未来は果たして、本当に確定してしまった未来なのか。それともあり得る形の未来なのか。

 

突然迫ってくる彩陽が亜月なのか本当に彼女なのか分からず理玖が振り回されたり。相も変わらずウザ絡みしながら理玖へと距離を詰めて来ようとする亜月。

 

そんな中、初めて彩陽が理玖に敗北すると言う非常事態は唐突に巻き起こる。

 

「あなたに勝つために、あなたから学びたいんです」

 

そう真っ直ぐな思いから理玖へと迫り、彼の家に同居せんと押しかけてくる彩陽。

 

「理玖先輩が、天詞家に泊まり込めばいいんですよ!」

 

が、そこへ押しかけてきた亜月は画期的な提案とばかりに、理玖が彼女達の家に同居するという彼にとっては衝撃的な提案をしてみせる。

 

なし崩し的に断れず、あれよあれよという間に始まる彼女達の家での同居生活。彼女達のホームグラウンドとも言える場所で、いつもよりも無防備な亜月に迫られたり、彩陽と接近してしまいドキリとしたり。

 

そんないつもとは違う非日常の中、垣間見えるのは彩陽という一人の少女の異常性。全てを手に入れている筈の彼女が、その全てを捨ててでも勝ちたいと願う事に込められた意味。

 

亜月は言う。姉は伸びが半端ではない。一日たてば置いていかれてしまう。

 

「あの人は恐ろしいです。天使みたいな笑顔のままで、すべてをメチャクチャにして、あの人が通ったあとは草も生えない」

 

そんな完璧であり雲の上すぎる存在であったはずの彼女は変わってしまった。理玖という異分子によって。どれほど力の差を見せつけられても決して諦めぬ存在のせいで。

 

「ええ、そうですね。わたしは亜月ちゃんみたいに可愛くはありませんが、他のことでは負けませんから」

 

だからこそ、彼にだけは負けたくない。そして妹にも負けたくない。そう、ここからがきっと本当の始まり。彩陽と亜月と理玖。三人を取り巻く複雑にこんがらがったのっぴきならない三角関係が、本当に始まった瞬間なのだ。

 

甘いだけではない、辛みもあるこの青春、どうか見逃さないで。

 

複雑なラブコメが好きな読者様、前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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