読書感想:俺がラブコメ彼女を絶対に奪い取るまで。2

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前巻感想はこちら↓

 

 

https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/02/20/230004

 

 

さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方にとって体育祭とはいつの季節に行われたものであっただろうか。秋口に行われる事がかつての一般的であったが、今の時代では初夏に行われる事もまた多くなってきたものであるらしい。

 

そんな訳で続刊の舞台は体育祭。体育祭と言えば、様々なイベントが巻き起こり何かが起きる、かもしれない舞台である。

 

そんな舞台で我らが主人公、和臣は今日もまたヒロインを奪い取る為に行動を開始する。

 

二人三脚でヒロインと密着して見せたり、はたまた応援団として活動したり。更にはヒロインの水着撮影に協力したり。

 

そんなイベント尽くしの日々の中、明らかになっていくのは和臣の、決して悪にはなり切れぬ善としての側面と、誰かの為なら熱くなれる、一種の主人公性である。

 

ヒロインを奪うと決意し行動しながらも最後の一歩が踏み出せぬ。踏み出しさえすれば上手くいくかもしれないのに、最後のその一歩が踏み出せぬ。

 

それどころか、自分を振り回そうとする黒比奈が困っているとあればせっかくの作戦を放り捨ててでも、彼女の為に、彼女の姉との関係性を何とかしようと走り出す。

 

「まったくだ。どうしてこうなったんだか」

 

口ではやれやれと言いながらも、その表情は何処か誇らしく。

 

 

そう、口では色々と言っておきながらも。何だかんだ悪のように気取ってみても。彼の芯は善であり、だからこそ彼は主人公であるのだろう。

 

道化の如く誰かを踊らせようとしながらも、自分もまた誰かの道化のように踊って。

 

それでも真っ直ぐ、がむしゃらに進んでいく。

 

そんな偽悪的に見えて真っ直ぐ、だからこそ彼は格好いいのかもしれない。

 

二巻にして大きく物語の舵を切り、誰もが予想していなかったかもしれない方向へと動き出すのが今巻である。

 

今巻を読み終えた時、貴方は何を思われるだろうか。

 

落胆か、それとも興奮か。

 

どちらにあなたの感情は傾くか。前巻を読まれた読者の皆様、新たに読みだすという読者様も。

 

どうか、自分の目で確かめてみてほしい。

 

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読書感想:妹のほうがお姉ちゃんより可愛いですよ、先輩?

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は一途な方であろうか、恋と言うものに。只一人だけ、見つめ続ける自信はあられるだろうか。

 

品行方正、文武両道、性格ヨシ。三拍子そろった天使と呼ばれる少女、彩陽。そんな彼女に憧れ恋をし、成績だけは何とか上回り告白しようとする主人公、理玖。

 

しかし、理玖の告白は無惨にも失敗してしまった。無論フラれた、訳ではない。邪魔されたからだ。そしてその邪魔をした者こそ、彩陽の妹で理玖の後輩である亜月(表紙)である。

 

この亜月というヒロイン、彩陽とは比べるまでもなく、表紙からも分かる通り正反対である。校則なんてどこ吹く風と無視し、心のままに突き進み、理玖に姉に告白するのはまだ早い、だから私が鍛えてあげようと絡んでくる。

 

しかし、その絡みは直球的であり肉体的であり、何処までもなれなれしく迫ってくる。まるで鍛えてあげるなんて事は建前だと言わんばかりに。

 

しかし、その根底にあったのは完璧な姉へのコンプレックス。そして確かに真っ直ぐな恋心であったのだ。

 

物心ついた頃から比べられ、比較対象にもならないと言われ。それでも追いつこうとしたけれど、その背中は何処までも遠くて。

 

そんな中、姉として出会ってしまった、自分と同じように姉への思いを抱いていた理玖に。

 

だけど彼は、成し遂げてしまった。自分では決してできなかった事を。追いつけないと思っていた背中に必死に手を伸ばし、追いつき並んでしまった。

 

その頃にはもう好きになってしまっていた。だけど、彼の目線は姉へと向いていた。

 

「亜月を好きだったのは、あの日だけだ」

 

姉は何でも持っている、だから貴方の心だけは手に入れたい。そう理玖に告げれど、彼は無惨にも、まるで完膚なきまでに殲滅するかのように。亜月の心をかき乱し、その恋心へとトドメを刺す。

 

「だから、俺には亜月が必要なんだと思う」

 

だが、それでもかかってこいと。あの日立ち向かえと言った亜月へと理玖は告げる。再び挑むにはお前が必要だと。狙うは彩陽だけ、この心が欲しければ奪い取って見せろと。

 

告白した者としかけた者。貴方が欲しいと迫る者と拒む者。

 

この三角関係は、何処か歪で歪んでいるのかもしれない。

 

だけど、彼等の心の中にあるのは真っ直ぐでピュアな恋の感情。隠し切れない直球の想いがぶつかり合う、迸るからこそこのラブコメは面白いのである。

 

只のラブコメではないラブコメを読んでみたい読者様、好きと言う気持ちが迸るラブコメを読んでみたい読者様には是非読んでみてもらいたい。きっと満足できるはずである。

 

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読書感想:君はヒト、僕は死者。世界はときどきひっくり返る

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問:時計と言われて思いつく時計は?

 

答:逆転時計(某ハリポタより)

 

さて、この作品の作者である零真似先生と言えば、スニーカー文庫で独特な世界観を前面に打ち出した作品を数多く手掛けられていた作者様であられるが、この作品は一体どんな作品であるかと聞かれれば、一言で答えてしまえば、セカイ系と答えるべきであろう作品である。

 

舞台となるのは何処か不思議で何故かふとした寂寥感のある世界。この世界においては天空に浮かぶ巨大な時計「世界時計」を境に二つの世界に別たれている。

 

空の上、天獄の住人である人間の少女、ファイ(表紙中央)。空の下、地国の住人である死者の少年、デッド(表紙左上)。その日、空からファイが降ってきてデッドと出会った事で、この作品は始まっていくのだ。

 

生者と死者。天と地。本来ならば出会いもしなかった、互いと言う存在がいる事も知らなった。だけど出会った、出会ってしまった。

 

本来ならば出会う事もなかったはずの二人。生きる世界が違う筈の二人は出会い、共に冒険へと踏み出していく。

 

君がいたから知れた、こんなにも星空は綺麗だということ。

 

君がいたから知った、自分の知らない世界にはこんな世界が広がっているという事を。

 

天獄と地国、二つの全く違うようでどこか似ているかもしれない、そんな二つの世界を行き来し巡りながら知っていく世界の素顔。

 

 

世界はこんなにも大きくて、この大きい世界で二人の関係はこんなにもちっぽけなもので。

 

お互いを隔てるものは全く違う常識と世界観、誰しもの心を知らぬ内に縛る諦念。

 

だけど、それでも止まれない。知りたいという情熱がある。

 

二つの世界のバランスが気紛れにひっくり返ろうとも、何度ひっくり返っても。この胸に宿った情熱は消えない、憧れは止まらない。

 

だからこそ、例え世界の壁を前にしても進んでいける。世界が相手だとしても、立ち向かっていける。

 

「今度こそ一緒にいくわよ。世界の果てに」

 

そして、だからこそ。一度離れたその手にもう一度の奇跡が舞い降りる。また再び、新たな冒険の物語を始められるのだ。

 

セカイの謎なんて知った事ではない、今この目に映るのがセカイの全てである。だからこそ、知りたいという憧れと情熱は止められない。

 

再びの言になるが、この作品はセカイ系に分類されるであろう作品である。そして同時に、二人の内心と心が交錯する、情熱と恋のパトスのままに描かれた、不思議と胸が熱くなる面白さに満ちている作品であるのだ。

 

心のどこかで感動を求めている読者様。言葉ではなかなか言い表せぬ不思議な作品が読みたい読者様にはお勧めしたい。きっと満足できるはずである。

 

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読書感想:僕を成り上がらせようとする最強女師匠たちが育成方針を巡って修羅場

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方には例え誰に何と言われても、絶対にあきらめたくないという夢はあられるだろうか。絶対に辿り着きたい場所がある、その為ならどんな困難な道も突き進んでいく覚悟はあられるだろうか。

 

さて、著者である赤城大空先生と言えば下セカこと、下ネタという概念が存在しない退屈な世界を始めとした限界ギリギリどころか限界をぶっちぎりでアウトの方向に飛び越えていく下ネタとお色気塗れの作品で有名であるが、時折何か血迷ったかのように二度めの夏、二度と会えない君などのように感動的な作品を創り出されたりする、言わば作品ごとにまるで別人か多重人格者かと言わんばかりの違う味を醸し出してこられる作者様である。では、この作品は一体どういう方向なのか。

 

 

だが覚悟せずとも良い。寧ろ警戒してこの作品の頁を開いた貴方は驚天動地で面食らってしまうかもしれない。何故なら、この作品は何処までも真っ直ぐに王道で魅力的だからである。

 

後書きで語られている通り、某ダンまちな香りのするファンタジーな世界。その世界には三人の最強の冒険者の妙齢の女性達がいた。

 

最強の剣士、リオーネ(表紙右上)。最強の魔術師、リュドミラ(表紙手前)。最強の聖職者、テロメア(表紙左)。最強の名をほしいままにする彼女達にも唯一手に入らないものがあった。それは大切な伴侶となる者、即ち男である。

 

そんな男日照りな彼女達は思いついてしまった。理想の男がいないのならば、自分で育ててしまえばよい、と。

 

そんな彼女達の生贄もとい育成対象として選ばれたのは、冒険者に憧れるも何の才もない少年、クロス(表紙中央)。

 

彼には全く才が無い。それはもうびっくりするほどに才が無い。しかし彼は大切なものを既に持っていた。それは何か。それは諸人を引き寄せる類まれなる優しさと、一歩踏み出すきっかけとなる小さな勇気である。

 

例え自らに害を為そうとした者が相手でも、今目の前で傷つくのを見逃したくないから、強大な魔物の前にも立ち塞がれる。

 

(振り絞れ! 研ぎ澄ませろ! あの人たちからもらったすべてをいまここで! 全力で体現しろ!)

 

そしてどんな敵にもひるまぬ勇気と、憧れが生み出した彼だけのスキルが合わさった時、大物食いの一撃は唐突に生まれ出る。

 

この作品は、大きな憧れを抱いた少年が最強の師匠たちに追いつくために勇気のままに駆けていく物語であり、そして最強の師匠たちが互いに出し抜こうとし合いながらも、クロスという少年を愛して慈しみ、彼女達なりの愛し方で育て上げていく物語である。

 

王道ファンタジーが好きな読者様、大物食いが好きな読者様は是非。赤城大空先生の作品にこれから入っていきたいという読者様も是非。きっと満足できるはずである。

 

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読書感想:ネクラとヒリアが出会う時

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は異性のどの辺りに惚れるタイプであろうか。外見だろうか、それとも内面だろうか。

 

とある学校、そこに所属する学校一の秀才でイケメンと名高い少年、総士。天使の生まれ変わりと名高い学校一の美少女、ゆりあ(表紙)。

 

共に学校の人気者。そんな二人には共通点があった。それは、極度の人見知りであり、それ故に周りに友がおらず一種の孤高と化しているという事である。

 

同族嫌悪であるからなのか、お互いに似た者同士であるのにどこか少しだけお互いが苦手なこの二人。

 

そんな二人がふとした切っ掛けで出会ったのは図書室の本棚越しというお互いの顔が見えない空間。そこから始まっていくのは、お互いの顔が見えないからこその本音のぶつけ合いである。

 

顔が見えない、聞こえるのは声だけ。だけどだからこそ見える気持ちがある。今まで苦手だった人の、本当の心が見えてくる。そこにあるのは自分とは反りが合わないと思っていた相手の、自分とは何も変わらぬ本当の心。

 

メールのアドレスを交換したり何でもない事を話し合ったり。何でもない緩やかな、だからこそ貴重な時間を過ごし縮まっていく二人の距離。

 

だからこそ、今まで話していた相手の正体を知った時、二人の心には荒波が立ち、混乱へと叩き込まれる。

 

苦手な相手だと思っていた。だけど本音をぶつけ合い知った本心に惹かれていた。

 

だからこそ、同じ道をもう一度一歩ずつ。今度は本当の意味でお互いを知る為に。

 

知り合いすれ違い、また知り合って本当の意味で恋人になって。

 

だからこそ、気付けるのだ。自分の意識などよりもプライドよりも、本当に大切にしなければいけないものがあるという事を。

 

「嬉しいな」

 

その笑顔が隣にあるのなら、きっと変わっていけるから。大人になっても無くしたくないと思うから。

 

正しくじれったくてもどかしい。だけど瑞々しくて初々しい。これはライトノベルという括りだけではだせない。恋愛小説のエッセンスも含まれているからこそ、見慣れたように見える面白さが何処か違って見えるのだろう。

 

昨今のラブコメ戦国時代、そこへ一石を投じ独自の面白さで殴り込みをかけていくであろうこの作品。

 

甘くて瑞々しくてもどかしくて。じれったくてこそばゆい。使い込まれた面白さもいつもとは違う輝きを加える事でまた違った輝きが見えてくる、そんな事実を教えてほしい読者様。

 

そして、王道ど真ん中の青春物語を読んでみたい読者様。どうか是非読んでみてほしい。きっとあなたも満足できるはずである。

 

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異世界蹂躙 ―淫靡な洞窟のその奥で―

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問:スライムと聞いて連想するスライムは?

 

答:リバイバルスライム(現半引退中の決闘者の発言)

 

さて、画面の前の読者の皆様はスライムと聞いてどんな存在を連想するだろうか。

 

スライム、それはファンタジー世界に置いて必ず存在していると言っても過言ではないかもしれぬ魔物である。そして強さもまちまちである。某RPGにおいては一番最弱の武器でぶん殴っても殺せる最弱の魔物である。某転スラにおいては、最強へと成り上がっていく魔物である。そして異種姦、魔物姦というジャンルにおいては竿役として一定の認知度を持ってくるのがスライムである。

 

そう、この作品においては異種姦、魔物姦という部分に置いての脅威としてスライムを描いている。それは何故か。だってこの作品、元々はノクターンノベルズというR18な投稿サイトで人気を博していた作品だからである。

 

舞台となるこの異世界、その名はエウシュアレ。かつて異界より召喚された勇者が魔王を討伐し平和が訪れ、勇者達の足跡と息吹が残る、言わば在り来たりな結末を経て平和が訪れた、アフターストーリーを過ごす世界なのである。

 

この世界に生を受けた一匹の弱き魔物、その名は闇スライム、ブラックウーズ(表紙右下、触手)。彼こそが将来、この世界を蹂躙し絶望へと飲み込む存在である。

 

魔王がいた頃には在り来たりの魔物だった。魔王がいない今はただ滅ぶのを待つだけだった、その筈なのに。

 

彼がとある獲物―――人間の老人の雄を食らい、吸収してしまった事から全ての歯車は回り出し、異世界は音を立てて軋み始める。

 

彼が得てしまった、雄としての性の知識。そして人間と言う孕み袋となる種族の知識。

 

そう、彼が手に入れてしまったのは知識と欲。人間ならば誰しもが持ち合わせ、そして彼が決して持ってはいけなかった知識。

 

その知識を得たブラックウーズは静かに動き出し、ふとした切っ掛けで出会った獲物を捕らえ、強姦を始める。

 

天才魔導士、フレデリカが最初の獲物となり徹底的に蹂躙され。

 

次の獲物として元奴隷だったサティアが囚われ快楽へと墜とされ。

 

討伐の為にやってきたエルフの女騎士、フィア―ナ(表紙)とその部下、アルフィラが蹂躙されブラックウーズの仔を生まされる。

 

 

それは経験を持たぬが故の容赦なき蹂躙。そして欲を得た彼が経験を経る度により淫靡に成長していく物語なのだ。

 

正に卑猥で淫靡、そして容赦ない蹂躙と強姦が怖気を走らせる。

 

しかし、そんな中でも快楽に墜とされ喘ぐ女達が間違いなく淫靡なのが仄暗く淫靡な魅力を出しているのがこの作品である。

 

「魔を滅ぼしなさい」

 

女王が決意し下した討伐の命。それは英雄譚に続く希望か。それとも新たなる蹂躙に続く絶望か。

 

本当の蹂躙はきっとここから始まる。興味がある読者様は是非読んでみてほしい。

 

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読書感想:両手に妹。どっちを選んでくれますか?2

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前巻感想はこちら↓

https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/03/19/235027

 

妹と妹、そこに加わる従妹は妹の範囲に入るのか。漢字に妹は入っているけれど。

 

さて、始まりとなる前巻では男女愛と家族愛のすれ違いについて語ったかと思うが、今巻では一体何を描くのか。

 

その答えは、男女愛に関しての因子を増やす事でのラブコメ方面での方向性の拡充、である。

 

しかもその新たな恋敵はこれまた見事に強敵だったという方向である。

 

そのヒロインの名は美咲。菫と椛の従妹でありプロゲーマー、そして転校前の隼人の同級生であり彼の何気ない一言に救われ彼に惚れた、という属性の数え役満かとツッコミたくなるような存在である。

 

菫と椛とは違い、振り回したりもせず。それどころか隼人と同じ趣味を持つからこそ気も合うし話も合う。唐突に現れた恋敵は、一瞬にして二人を追い抜いていくのではないだろうかという程の強敵で。

 

そんな強力な恋敵を前に菫と椛が取った方策。それは一時休戦、からの共闘である。

 

二人でいがみ合っている場合ではない、今は協力して敵に当たるべき。

 

その方向性のままに、隼人に家族写真の名目で写真を撮ってもらい際どい所まで攻めたり。

 

家族全員で出かけた時には、運動中にちょっと天然な所を装ってみたり。

 

そんな二人に振り回されながらも未だ全く気付いていない隼人は何をするのか。父親との向き合いも一段落した彼の願いは只一つ、本当の家族になる事な訳で。

 

だからこそ、菫と椛にプレゼントする為に初めてのバイトを頑張ったり。引き留める二人を前にうしろめたさを感じたことに、まだ真の家族になりきれていないと反省したり。

 

それは確かに二人を見ているという事。だけどそれは、二人の望んだ見られ方ではないという事で。

 

「私も絶対に負けられないんだ。ごめんね」

 

だからこそ、美咲は再び心に恋の炎を燃やし、菫と椛に宣戦布告を突き付ける。彼の事が大好きなのは私も同じ、だからこそ譲れないし負ける気はないと。

 

始まりの前巻、始動の今巻。ここから本当の意味でこの作品が始まる、それは間違いない。そして、ラブコメに外部からのヒロインが新たに加わる事で、より深みを増し熟成されていくのも確かである。

 

前巻を読まれた読者様は是非。家族愛と男女愛のすれ違い、鈍感な少年と健気な少女のラブコメが見たい読者様も是非に。きっと満足できるはずである。

 

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